世界最大の携帯電話機メーカーである韓国Samsung Electronicsが9月3日、「GALAXY Note」スマートフォンの新機種を発表した。1つ前の機種はデザインが不評で、Samsungは自らが開拓した大画面スマートフォンの市場でシェアを落としている。
新機種「GALAXY Note 4」はメタルフレームを採用し、より鮮明な表示の5.7インチディスプレイを搭載するなど、米Appleなどのライバルを意識したSamsungの最新のデザイン戦略が反映されている。Appleは9月9日に同社初の大画面スマートフォンを発表するとみられている。
GALAXY Note 4では、ゲーマー向けのアクセサリが提供されるほか、スタイラスペンが改良され、キーボードの代わりに手書きで入力するための関連ソフトウェアも提供される。大画面を生かしたマルチタスク機能の使い勝手も向上している。
GALAXY Note 4はSamsung Electronicsの回復の鍵を握る製品だ。Samsungが大画面スマートフォンを投入した当初は、「通話時にあんなに大きな画面を耳元まで持ち上げるのか」と揶揄する声もあった。だが2011年に初代Noteが発売されて以来、5インチおよびそれ以上の画面サイズはハイエンドスマートフォンの標準となっている。そうしたスマートフォンの用途が、通話よりもテキストの読み書きやメール、アプリの使用、動画視聴、ゲームのプレイなどにシフトしてきた影響だ。
携帯端末のアナリストによれば、GALAXY Note 4には新機能が多数搭載され、最新のハードウェア仕様の多くを備えてはいるものの、新規ユーザーをワクワクさせるような要素がほとんどないという。
Forresterのアナリスト、トーマス・ハッソン氏は、「大半は漸進的な変更だ。代替選択肢が豊富なAndroidデバイスのエコシステムにおいて、本当に差別化を図れるような全体的なユーザー体験に欠けている」と指摘する。つまり、競合各社が提供する何十種類もの安価なデバイスとの差別化を図るためには、Samsungには緊密に統合されたソフトウェアやサービスが必要であるということだ。
2014年第2四半期(4〜6月期)には、市場シェアの縮小が響き、Samsungの営業利益は過去2年で最低のレベルまで落ち込んでいる。ただし、それでもまだSamsungは世界で出荷されているスマートフォン全体の3分の1近くを出荷している。
調査会社Canalysによれば、Samsungは2014年4〜6月期に世界最大規模の中国スマートフォン市場で中国Xiaomiにトップの座を奪われている。Samsungはそのほかの新興市場でも市場シェアを減らしている。アナリストによれば、これは一部には、よりローエンドな市場において、競合各社からより魅力的な製品がはるかに低価格で提供されるようになっていることの影響という。
その責任の一部は「GALAXY S5」にある。GALAXY S5は今年4月に世界で発売されて以来、広く不評を買っている。調査会社Counterpointによれば、実際、2014年5月には、発売からはるかに長い月日が経つAppleの「iPhone 5s」のほうが、このSamsungの主力スマートフォンよりも多く売れたという。アナリストは敗因として、「Samsungが前の機種からの大幅な改善を果たせなかったこと」を挙げている。
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