先日参加したMY BOTTLE DRINK Dropのイベントと同じくサントリー社が参加者を募集していたワイナリーツアー。応募したら、当選したので行ってきた。
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[SUNTORY公式ブログ] 【参加者募集】ブロガーイベント「登美の丘ワイナリー 技師長が語る 特別ワイナリーツアー2013 秋篇」/ワイン – サントリートピックス
“大人の遠足”という言葉に惹かれて募集した気もしないでも無いけど。
1月頃、ダイヤモンド富士のツアーに参加した際にもワイナリーが工程に含まれていたけど、そちらは短い滞在時間で「ワインやワイナリーについて知る」と言うよりワイナリーでワインが買える、というレベルのもの。原材料となるぶどうも、ワインが樽から汲み出される様子も見ることはない。美味しいワインを試飲できて、購入が出来たのでそれはそれで楽しかった。
今回のイベントでは製造工程を見ることもできる”大人の遠足”の謳い文句通りの楽しみなイベント。
当日は、つくり手の責任者である技師長が、自ら皆さまをご案内し、つくり手の想いやこだわり、日本ワインの楽しみ方をお伝えします。
自家ぶどう畑はもちろん、樽熟庫・瓶熟庫などのワイン製造工程を見学できるほか、テイスティングでは、「登美」の<赤>、<白>、<ノーブルドール>など、登美の丘ワイナリーのフラッグシップワインを味わっていただきます。
ツアーの概要
このツアーは一般向けにワイナリーツアーに招待されたブロガー向けに追加要素が加えられた特別編のよう。
技師長が語る 特別ワイナリーツアー2013秋篇(有料)「プレミアムコース」 | 見学ツアー・セミナー | サントリー 登美の丘ワイナリー
※大枠はこのツアーの構成だが終了後に懇親会があったり、途中に普段は入れない場所や体験があった分”特別編”になってた。
ワイン・お酒が好きな人、工場見学マニア、大自然でのイベント好き、ワイン造り・モノ造りに興味がある人等、甲府で大自然の中で体験したい人にはお勧めしたい。
この地域では様々な原料の収穫所や水が綺麗な場所など、色んな体験ができる施設がたくさんある。そん中でもここのワイナリーをオススメする理由がある。
この人。高谷技師長。
今聞くべきはこの人 高谷技師長の話だと思う。高谷技師長は甲府駅から30分程度で到着したワイナリーの入り口からバスに乗り込み、ツアーの間中、語り続けてくれる。この人に会わずしてワイナリー見学は無いと思って良い。それほど、高谷技師長はこのツアーのキー要素だと思う。
「サントリートピックス ブロガーイベント 登美の丘ワイナリー 技師長が語る 特別ワイナリーツアー2013 秋編」のお品書き
一連の流れは以下の通り
- JR甲府駅集合
- ワイナリー到着
- ワインテラスで昼食
- 自家ぶどう園 特別見学
- ワイン製造工程見学(新醸造設備、樽熟庫・瓶熟庫)
- テイスティング
- 懇親会
- JR甲府駅解散
通常のツアーも甲府駅目の前のロータリーからバスが出ていて、分かり易いし、行き帰りも楽ちん。
やっぱりぶどう園と工場の見学、テイスティングが山場でありながら、その後の懇親会でサントリーの方や、他地域から来られている方ともお話が出来たのがとても良かった。
因みに、「醸造工程」に”新”が付いているのは、今年の夏に新しい設備を導入したばかりで一般向けには初めての公開になる、との事から。
JR甲府駅到着~ワイナリー到着
わかり難いけど上の写真の真ん中辺りにある白いのがてるてる坊主。例年はバスケットボールを入れて作っているが、今年はバランスボールで作ったとの事。また、顔も例年は黒丸の眼だったが、今年の新人さんが少女漫画チックな眼にしたとか。
後からの説明にもあったため思ったのだけど、ぶどう栽培には雨はそんなに嬉しい要素では無い様子。ワインを醸造する際にも加水は無いため、元気よくぶどうが育っている間は日照時間が長く(糖度の上昇)、雨量が少ないことがワイナリーの好条件になるみたい。
ワインテラスで昼食
樽熟庫の横を通り、畑を超えて一番高いところにあるショップとレストランでランチ。
盆地を見下ろす高台にあり、大きな窓が印象的なレストランはもちろん一般の利用者も食事が可能。今回はブロガー30名程度が参加のため、席の大半がこのツアー参加者のために確保されていた。
料理
▼(食事)富士桜ボークのソテー 赤ワインソース
身が柔らかくシャキとした肉質が特長です。甘酸っぱい赤ワインソースでお楽しみ下さい。
▲(ワイン)登美の丘 赤 2010
徹底した収量制限により、小粒で果実香に優れた完熟ぶどうを育成。
繊細な味わいを引き出すために、マロラクティック醗酵を実施。
凝縮した果実味とぶどうの個性を見極めたバランス良い樽づかい。
樽熟成:約12ヶ月(フレンチオーク主体、新樽比率41%)
メルロ48%、カベルネ・ソーヴィニヨン30%、カベルネ・フラン14%、プティ・ヴェルド8%
【香り】カシスの果実香とほどよい樽香のバランスがよく感じられる
【味わい】ミディアムボディ / 口あたりはやわらかく、チョコレートを感じるふくよかな味わい
▽(食事)山梨県産 甲斐サーモンのポワレ
皮はパリッと実はふっくらと焼きあげました。
バルサミコ酢と赤ワインを使用したソースでお楽しみ下さい。
△(ワイン)登美の丘 シャルドネ 2010
徹底した収量制限により、小粒で果実香に優れた完熟ぶどうを育成。
旨みを引き出すために、シュールリーを実施。
凝縮した果実味とぶどうの個性に応じた樽香のバランスをとるため、
一部を約7ヶ月熟成(樽熟成31%、タンク熟成69%)
シャルドネ100%
【香り】レモンを思わせる柑橘系のさわやかな香り、バター、ナッツ、蜜の香り
【味わい】辛口 / 全体的にふくよかで旨みが感じられ、後半にはしっかりした心地良い酸味が長 く続く
多くの雑誌で取り上げられている程、どちらも美味しい。ワインを余り飲まない自分でさえも「この料理はこのワインで飲みたい」と思えてしまうほど。
お肉を食べて赤ワインを飲むと、肉っぽい臭いというか味というかを洗い流してくれるだけでは無くてどんどんワインの甘みが口の中で増していく。正直、日本の赤ワインに良い印象が無かったため驚いた。
お魚も表面がパリッとしていて肉厚なためジューシー。白ワインが重すぎずサッパリと口に広がってワインを飲むために食事を、食事を美味しく食べるためにワインを…と、これからツアーが始まるというのにシッカリ1杯チョットを飲んじゃった。
自家ぶどう園 特別見学
食後は畑への移動前に自由時間があり、ショップを見て回れた。
その後、バスに乗ってレストランのある尾根上からもう一つの尾根上に移動。尾根上の展望台の上から畑の説明を受け、その後、ぶどう園で栽培についてお話を伺った。
風の向き、傾斜、垣根栽培/棚栽培によって同じ品種でも出来が異なる。それらを研究、試しながらぶどう造りが進められる。
色調、糖度、酸味で収穫時期を決め、ワインによってはその割合を変えて品質を維持する。もちろん味は後工程の果汁を搾り出すところから樽/瓶での熟成によってもワインの味は異なってくる。
この高台は貯水タンクとなっていて、一度この高い位置に水をくみ上げておいて各畑へ水がそこから供給される。
ぶどうの育成について伺う
まず、9年生の木、2年生の木、1年生の木がある。
9年生の木は大本の根を持った木のこと。そこから生えてきた枝を左右に伸ばし、そこから縦に等間隔に枝を伸ばしていき、そこから更に上に向かって伸ばし、実がなるようにする。左右に伸ばしたのが2年生の木で、等間隔に実を付けるのが1年生の木。
横に引っ張った2年生の木の下の方に実だけが出てくるので風通しも良く、収穫も楽になる、という事らしい。
ボルドー液という液体で葉っぱやぶどうの実をコーティングして育てる。雨が多く降ってしまうとこの液体が流れ出てしまうので雨量の少ないこの地域で栽培することにはメリットがあるとか。
このボルドー液、調べてみるとかなり昔から使われていて、やっぱりワイン栽培の場で発見されたものらしい。
ボルドー液 – Wikipedia
1885年にワインの産地であるフランスのボルドー地方で、ボルドー大学の教授だったピエール・ミラルデ(Pierre-Marie-Alexis Millardet)によって発見された薬である。
ぶどうの試食
実際になっているぶどうを試食した。なかなか出来ない事でここでしか出来ない体験。
高谷技師長のお話はネタが尽きることが無い。同じ説明なのにこっちとあっちで関連するエピソードが違うのでどっちも聞き逃すべからず。
ワイン製造工程見学(新醸造設備、樽熟庫・瓶熟庫)
収穫したぶどうが集まってきてまずは破砕(はさい=ツブして茎の部分を取り除く)、圧搾(あっさく=果汁の絞り出し)する。
その後、タンク熟成、樽熟成を経て瓶詰めされる。瓶詰めされた後で瓶熟性という工程を経るとワインに深みが産まれるらしい。
半地下の工場なので工程毎の移動は自重で行われる。 先に瓶詰め工程を見学してから次に樽熟庫・瓶熟庫を見学。
樽熟庫
完全な地下室なのでひんやりとしていて外の暑さがウソみたいに涼しい。
樽熟庫で使われる樽の製作は現在日本で行っていない。ヨーロッパの数社のメーカーから取り寄せて使用している。ぶどうの品種やワインと組み合わせを色々試して研究しているという事らしい。
ワインは生酒なのでウィスキーの様に樽で長い間熟成させるものではない。
瓶熟庫
ワインによっては瓶詰めした後、ある程度時間が経ってから飲む方が美味しいものがある。瓶詰めしてすぐに販売しても良いけど購入者がキチンと温度管理された所で保管し、一番美味しいタイミングで飲んでもらえるとは限らないからメーカーとしてそのタイミングまでワインの状態を管理する必要がある、と高谷技師長。
暗く涼しい熟成庫。湿度、温度が一年を通して一定で夏なのにひんやりする(15度くらい)冬は逆に暖かい。
サントリーは元々ワインから始まった会社だったそう。ワインからウイスキー→ビール→ビバレッジの順に拡大していき、今ではビバレッジが一番売上げを出している。
またここで、戦争中にワインが軍事産業だった話を伺った。ワイン自体が酒石酸カリウムナトリウムという有機結晶を作るための母液だったそう。
飲むためでなかった山梨産ワインの話 – 日々是好日日記 – Yahoo!ブログ
醸造したワインの中に、ロッシェル塩を結晶化させるために源となる種子結晶を封じ込み、一定の温度で静止しておきますと、やがてこれが大きく成長します。成長した結晶には圧電性があって、寸法によって制御できる周波数で電気的・弾性的に安定して振動し続けます。これを真空管発振器の振動源としてつかい、その信号を増幅した電気信号でフェライトなどの磁性体を励磁すると、磁歪振動によって超音波が励振できます。この超音波パルスを海中に向けて発射し、その反射波を受信することで深海に潜む潜水艦が探索できます。
日本のワイン – Wikipedia
第二次世界大戦中にワイン製造の際の副次品である酒石酸から生成されるロッシェル塩結晶が兵器(音波探知)の部品になるとして、国内でぶどう酒醸造が奨励され、大増産された経緯もある。ところがこれはあくまでも軍事兵站上の需要であり、飲用を主目的としたものではなかった
テイスティング
テイスティング会場は熟成庫の奥。参加者人数分の席にワインがずらずらっと並べられてた。
一番驚いたのは貴腐ワイン。蜂蜜をなめているような甘さを持っていてブルーチーズとの相性は抜群。あまりにも美味しすぎるので一通りテイスティングして最後に残しておいた。
カマンベールをつまみながら登美の丘カベルネ・フランの2005と1975を飲み比べ。
時間が無い時にはテイスティングだけでもやってるので是非体験してほしい。
口に含めば含むほど甘みが出てくるので思わずたくさん試し飲みしてしまったテイスティングコーナーも終わり、レストランに戻る。
懇親会
高谷技師長曰く、懇親会は料理チームが腕を振るって普段作らない料理を作るから楽しみ、との事。ランチがあれだけ美味しかったので期待が高まる。
普通の「かんぱーい!」ではなく「スコール、スコール、スコール!」の掛け声で乾杯した。これはサントリー流の掛け声で、デンマーク語らしい。サントリートピックスに書いてあった。
[SUNTORY公式ブログ] 【続報レポ】ブロガーイベント「ザ・プレミアム・モルツ講座~ビールの最高峰を目指すつくり手たち~」武蔵野ビール工場で開催/ビール系飲料 – サントリートピックス
できたての「ザ・プレミアム・モルツ」を注いでもらったら、みんなで「かんぱーい!」ではなくて…サントリー流の乾杯「スコール!」を皆さんで。 これはビールづくりの盛んなデンマークの言葉で「乾杯」の意味なんですよ。実は昔サントリーがビールづくりを学びに行ったのが、デンマークの「カールスバーグ社」。そこで使われていた「乾杯」の意味の「スコール」がサントリーでも使われるようになったのです。
世界の乾杯のコトバ,ビール用語
※色んな乾杯があった。
懇親会では5つのワインが用意されていた。
- ジャパンプレミアム 甲州 2012
- ジャパンプレミアム マスカット・ベーリーA 2011
- 登美の丘ワイナリー 登美の丘 甲州 2012
- 登美の丘ワイナリー 登美の丘 シャルドネ 2011
- 登美の丘ワイナリー 登美の丘 赤 2010(メルロ48%、カベルネ・ソーヴィニヨン30%、カベルネ・ フラン14%、プティ・ヴェルド8%)
それとは別に国産ワインコンクール2013金賞受賞ワインも。
- ジャパンプレミアム マスカット・ベーリーA ロゼ 2012
- ジャパンプレミアム かみのやまメルロ 2011
- 登美の丘ワイナリー 登美 赤 2008
食事を楽しみながらワインを試してみたり、ツアーの内容について他の参加者と談笑したり、技師長に質問をしたり、であっという間。
その後、バスで駅まで送ってもらって大人の遠足は終わり。
自然に囲まれて、チョット遠出をして。お酒のお話をしながら、技師長曰く「飲み屋で知っておくと良い話」を聞いて一日を過ごした。まさに「大人の遠足」。
参加者も色んな所で情報発信をしているブロガーだったり、サントリーの広報や関連部門の方だったりで話が尽きない。 こういう場に知り合いだけで遊びに来るのも良いけど、今回のようなイベントで集まるのも楽しい。
お酒が飲める大人になった今、会うべき人 高谷技師長は「次の人事異動までは多分、ここにいる」そうなので是非会いに行ってもらいたい。「高谷技師長の話は二度と同じことは無い」くらいに話題が豊富なので「大人の遠足」にはうってつけ。一度この登美の丘ワイナリーに来たことがある人でも足を運んで欲しい。
盛りだくさん過ぎてあっという間のこの遠足は”秋編”だけど、この夏一番の思い出になった。
もっとこういう工場見学をしてみたいと思ったので次は白州の蒸溜所に行きたい。
http://blog.suntory.co.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/5311
SUNTORY公式ブログにイベントのエントリーがあったので追記。
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