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 ●口頭弁論 「発注者は安全配慮の義務ない」

 東京電力福島第一原発の事故直後の収束作業で、不適切な指示のために無用な放射線被曝(ひばく)をしたとして、下請け企業の元作業員の男性(48)が東電などに1100万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が3日、地裁いわき支部(杉浦正樹裁判長)であった。東電は「作業の発注者である東電に下請け労働者の安全を配慮する義務はない」と争う姿勢を示した。

 原告が問題としているのは事故直後の2011年3月24日の作業。訴えなどによると、男性を含む下請けと元請けの計6人が3号機のタービン建屋地下で電源盤にケーブルをつなぐ際、現場に高濃度の放射能汚染水がたまっていたため、男性は約11ミリシーベルトの外部被曝をしたという。

 男性側は雇用関係のない東電の責任について、「東電は自ら具体的な作業を下請けにも指示しており、下請け労働者の安全を確保する義務があった」と主張。東電は「発注者であり、元請けや下請けと一体になって作業をした事実はない」と反論した。他に訴えられた元請けと下請けの会社は「男性の被曝線量では精神的苦痛を負ったとは言えない」などと主張した。