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●廃炉作業員 4人、賠償求め提訴

 東京電力福島第一原発事故の廃炉現場で働く男性作業員4人が3日、本来受け取れるはずの危険手当が支払われなかったとして、東電や大手ゼネコンの鹿島など17社に計約6200万円の賠償を求めて地裁いわき支部に提訴した。原告弁護団によると、廃炉作業員の待遇が司法の場で争われるのは初めて。

 弁護団によると、4人は原発事故以降、それぞれ10カ月~2年2カ月の間、いずれも下請け企業で原子炉建屋のがれき除去や汚染水タンクの点検などに携わったという。うち2人は今も現役という。

 この日、東京都内で記者会見した原告男性(55)は2011年8月以降、現在も第一原発で働くが、「危険手当は一切受け取っていない。作業員の努力が報われないのが一番悔しい。東電も含め、この状態を改めて欲しい」と訴えた。

 訴状によると、第一原発の作業は放射線被曝(ひ・ばく)を避けられないことから、東電は作業員への危険手当(現在は1人あたり1日2万円)を含んだ額で大手ゼネコンなど「元請け」に仕事を受注する。しかし4人は、通常の賃金しか受け取れず、それぞれ1万~5万円の危険手当が行き届いていない、と主張している。

 東電は取材に「請求内容や主張を伺った上で、真摯(しん・し)に対応したい。設定上の単価の増額分(危険手当)は作業員に行き渡るように元請けに指導している」。鹿島は「訴状が届いていないのでコメントは控える」としている。

 原告弁護団は当初、損害賠償請求額を約9千万円としていたが、訂正した。「4人の請求内容をすりあわせた結果」としている。