日本の年間医療費40兆円へ 「西高東低」の地域差にメス:イザ!

2014.9.4 08:00

日本の年間医療費40兆円へ 「西高東低」の地域差にメス

 国はこれまで、診療報酬の改定によって病床数の調整や入院日数の短縮を図ってきたが、全国一律の診療報酬を動かすことでは地域差の解消にはつながらなかった。

 都道府県別の支出目標設定は、安倍晋三首相をトップとする「社会保障制度改革推進本部」の下に置かれている専門調査会(会長・永井良三自治医科大学長)が仕組み作りを進める。医療機関が請求するレセプト(診療報酬明細書)のデータを活用して地域ごとに必要な病床数などの目安をまとめ、支出目標の「計算式」を示す。これを踏まえ、都道府県がそれぞれの目標額を定める。

 ただ、この額を超えた都道府県に対するペナルティーは設けられない見通しで、支出目標が実効性を欠くものにとどまる可能性もある。

 さらに、医療費抑制に対しては日本医師会(日医)をはじめとする医療関係者の抵抗が避けられない。

 日医は8月6日、医療、介護の需要などの地域別データを独自にまとめて各地の医師会に提供し、自治体による医療計画策定に関与させる方針を明らかにした。都道府県単位で医療費絞り込みを進めようという動きに対抗する意図があるのは明らかだ。

 地域医師会の反発をはね返し、自治体が大なたを振るうことは容易ではない。もちろん、医療費を抑えようとするあまり地域医療がダメージを受けることになってはならないが、支出目標の実効性を担保する制度設計も必要だ。