奈良県吉野町の歴史的景勝地として知られる「宮滝」で深刻な問題が起きている。インターネット上で「飛び込みスポット」と有名になってしまい、県外から「度胸試し」に訪れる若者たちが殺到しているのだ。過去には、飲酒後に飛び込んだり、高さ約20メートルの橋からダイブしたりして死亡したという報告もある。県などは3年前から周辺にフェンスやロープを張り、夏場には巡視員を配置するなどして対策に乗り出しているが、無謀な挑戦者は後を絶たない。“いたちごっこ”状態に、地元関係者らは頭を悩ませている。(橋本昌宗)
宮滝は、吉野川の両岸に高さ1〜7メートルの巨岩、奇岩がせり出した独特の景観で知られる。水の色は美しいエメラルドグリーンで、飛鳥時代には「吉野離宮」があったとされ、「万葉集」や「懐風藻」などでも多く詠まれている。
ところが、現代では「飛び込みスポット」としてすっかり有名になってしまった。若者たちの間では“度胸試し”にと互いにあおり合い、より高い位置からの飛び込みを競う無謀な挑戦が後を絶たない。
奈良県警などによると、平成13(2001)〜23年の間に宮滝で飛び込みなどで死亡したのは11人。河原で仲間とバーベキューを楽しんで飲酒もした後に飛び込んだり、川から高さ約20メートルの橋から飛び込んで死亡したというケースもあった。
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