富山ダイヤ見直し 高齢者に好評 朝日町営「あさひまちバス」
利便性高まり乗客増朝日町の町営バスが今年四月、「あさひまちバス」に衣替えしてから五カ月間が経過した。運行数が少なく、利用者が減少していたが、同町で運行実験をした京都大大学院と連携して運行ダイヤを大幅に見直すなどした結果、高齢者を中心に利用客が増加している。高齢化率が県内一の同町で、町営バスはどう変わったのか。(高橋恒夫) 「以前は一日三便で不便だった。今は一時間に一本走るようになったので、病院や買い物に使う。一日に午前と午後に乗ることもある。便利になった」 中心市街地から約六キロ離れた新潟県境の同町境に住む女性(90)は使い勝手が良くなった町営バスに満足そう。別の女性(73)は「夫が亡くなって移動手段がない。運賃が三百円から二百円に下がって年金暮らしには助かる」とも。高齢者にとって、移動手段の確保は切実な問題だ。 もともと同町の町営バスは、廃止された民間のバス路線を町が肩代わりする形で、一九九七年に「公共バス」の名称で始まった。しかし、利用客の多いルートでも一日わずか三便だったり、少ないルートでは週二日しか運行していなかったりした。 身近な“町民の足”というには程遠く、利用客は二〇〇四年度の一万五千人余から減少し続け、一一年度には一万一千三百人台に減った。 そんな中、同町出身で交通政策が専門の中川大(だい)・京都大大学院教授が関わり始めたことで“潮目”が変わった。まちづくり事業などで同町と縁があったことから、バス利用の運行実験をすることになったのだ。 実験は一二年十二月から一年間、町の公共バスとは別に、JR泊駅に電車が到着する時間に合わせたダイヤでバスを運行させた。運賃は公共バスの三百円に対し二百円。実験の結果、一年間の利用客は公共バスが一万一千四百人とほとんど変わらなかったが、実験バスには六千四百人の利用があった。 実験バスの利用客をみると、多くは交通弱者の高齢者だった。同町商工観光課の小川雅幸課長は「病院やスーパーなど行きたい施設や時間帯をきちんと設定して運行すれば、乗ってくれる」とバス需要を再認識した。 町はバスを二台から三台に増やし、今年四月から正式に「あさひまちバス」としてスタート。ダイヤも中川教授と協議して見直し、運行は平日に限定した。朝夕は通勤、通学者のためにJRのダイヤに合わせ、始発から終電まで対応。日中は「○時ちょうど」と正時発車にするなど、分かりやすさにも努めた。 運営はこれまでの町直営から町内のタクシー会社に運行を委託。ルート中の安全な場所なら、どこでも乗り降り自由にした。 一カ月間の一日平均利用客は七月、初めて百人を超え、導入二年前の二倍となった。小川課長は「朝日町は県内一の高齢化率。今後、車を運転できない高齢者が増える。その足を確保し市街地に来てもらうためにも、苦情や要望を参考に毎年ルートやダイヤを見直す。土日の運行も検討したい」と課題を語る。 後記魚津市の市民バスが昨年度、年間利用客二十万人を初めて達成し、同時に国土交通大臣表彰を受けた。民間の路線バス廃止を引き継ぎ、郊外の路線をNPOが支えた。地域ぐるみで自分たちの足を守ってきた取り組みが評価されたのだろう。 利用者が増えてきた朝日町の町営バスだが、午後などはまだ「空気を運んでいる」のが実態だ。自治体の公共交通は採算だけで判断できない。しかし同市の担当職員は「持続するためには採算性を上げる努力が不可欠」と強調する。自治体が住民の足をどう守るかは、住民の視点とアイデアが求められる。 PR情報
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