子どもが産まれる前,妻がよく言っていたのが「それ不公平だよ」だった。妻も仕事をしていて,私も仕事をしていたので,公平に分担したいという思いがあり,またそれが可能であった。
私の親戚はまだ子どもがいないので,家計も半分ずつ出し合っており,奥さんは家事も公平に分担したいと考えているようで,そこで対立が生まれ,争いが絶えない。
我が家の場合,「それ不公平だよ」という問題が生じた時に話し合って解決してきたが,完全に「公平な分担」などはできなかった。それが子供を持ってさらに「不公平感」が増していった。
例えば授乳は男にはできない。夜中,一人で起きなければならない妻。その分,私は早起きして子供の相手をしたが,それでも妻にかなり疲労が溜まるのは間違いない。だから「公平な分担」などはそもそもできないのだ。育児に関しては妻にある程度になってもらい,他の部分で私は頑張るしかない。そんな結論になった。それから妻は「不公平」とは言わず,「ありがとう」と言うようになった。子どもを持って初めて私達は「家族」になったのかもしれない。
夫の家事分担は少ない方がやりやすい!?
実際のところ,夫の協力度は20~30%がいいところではないかと思います。つまり50対50どころか,20対80,よくって30対70.
けれども,考え方によっては,これほどやりやすいことはないのではと思います。
80対20や70対30で動いているからこそ,奥様方は家事と子育てで主導権を握り,なんでもほぼ自分の好きなようにできるのです。
(中略)
リーダーは奥様方でいいのです。旦那様は20~30%しか担っていないのですから,家事・育児の決定権はあまりないのです。だから,奥様方は自分の好きなようにやっていいのです。また実際,そうなっているはずです。
(中略)
どうぞリーダーとして,何でも好きなように決めていってください。
そして,お父さんの家庭での最大の仕事は,子どもと遊ぶこと。大いに活躍してもらいましょう。体力勝負の子ども相手,それを任せられるだけでも,ずいぶんラクになるのでは?(146-147頁)
言うこと聞かない!落ち着きない! 男の子のしつけに悩んだら読む本
- 作者: 原坂一郎
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2010/11/18
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上記の本の引用部分にあるように,何も育児に関して「割り勘」みたいな「公平さ」を求める必要はないし,そもそもそのようなことはできない。仕事をすれば分かるが,すべての仕事を一人ですることはできないし,それぞれの強みを生かしたチームで一つの仕事を行った方が効率が良い。また司令塔は一人の方が効率がいい。家庭も同じで,それぞれの分担を話し合い,決めていくこと。そしてそれを柔軟に変更できる夫婦関係を築くこと。これが最も重要ではなかろうか。
「家事を分担しよう」「育児を分担しよう」と言うと「割り勘」みたいに公平に「50対50」にしなければいけないと考えがちである。しかし,そもそも分担する目的は育児や家事をスムーズに行えるようにすることであり,50対50に分担することが目的ではない。目的が手段そのものになってしまうと,その先にあるのは不幸な結末である。どうやったら今の状態が改善できるのか,そのために必要なことは何かを夫婦間で話し合い,決めていくことこそ重要ではないか。そのための家事分担,育児分担ならば大いにすべきである。
一見,子育ての問題として見えるものは,実は夫婦間の根本的な問題。それを解決せずに放置していると,その問題がくすぶり続け,熟年離婚にもなりかねない。「産後クライシス」とはまさにその前触れだろう。子育ての問題をいずれ解決する問題だと安易に考えず,今後も夫婦で話し合っていきたいと思う。そんなことを考えていたら,妻は副鼻腔炎,息子は発熱。頑張れ,俺…。