ファンの声援に応える巨人・原辰徳監督=前橋・上毛新聞敷島球場(撮影・小倉元司)【拡大】
勝負手〔3〕 三走・ロペスに、バットにボールが当たった瞬間にスタートを切る「ギャンブルスタート」を命じた。「井端なら、追い込まれても空振りはしない」(川相ヘッドコーチ)と確信があったからだ。
このスタートが広島内野陣に無形の重圧をかけ、打球が抜ける一因になった。続く長野が11号2ラン。電光石火の4点で、前田を沈めた。
前日2日の試合後、チームは長野市から宿舎の群馬・高崎市まで約150キロのバス移動。車内で選手たちはブルース・ウィリス主演のアクション映画「ティアーズ・オブ・ザ・サン」を鑑賞。特殊部隊が女医を救出するストーリーに、体は疲れていても、闘志はさらにかきたてられた。
「ノーアウト二、三塁にしたのも大きかった。いい当たりではなかったけど、(井端に)2点タイムリーが出て、長野も非常に見応えのあるホームランを打った。“ナイスビッグイニング”だった」
原監督が笑った。8月2日以来、約1カ月ぶりに2位に3ゲーム差をつけた。4日、宇都宮での第3ラウンドに勝ち、DeNAが阪神に負ければ優勝マジック22が点灯する。長野→群馬→栃木、合計260キロ。バスに揺られた道程の先に、はっきり、リーグV3が見えてきた。 (桜木理)