アララ、ボールはどこへ…。井端(奥)の打球は前田と松山(手前)の間をコロコロ。右前まで達した【拡大】
渋すぎる。1点を追う五回一死二、三塁。カウント2-2から代打・井端が前田の内角低め、シュートに反応した。「何が何でもバットに当てる。バットを止めて、ボテボテでもいい…」。絶対に転がす決意が、見栄えの悪いどん詰まりのゴロとなって表れた。
白球は、前田と松山の打球処理の迷いもあり、一、二塁間をスルスルと抜けた。最低でも同点打にするつもりのゴロが、逆転の右前2点適時打になり、「最高の結果になったね」。39歳は思わず苦笑いだ。
2年連続となる前橋開催。午後4時の開門前から、球場外にはG党とカープ女子が長蛇の列を作った。鉛色の空からは強い霧雨。前回8月15日(マツダ)の対戦では3回でKOした「雨のマエケン」-。だがこの日は、四回までわずか1安打に抑えられた。
五回。ロペス、村田の連打などで一死二、三塁。原監督が動いた。
勝負手〔1〕 5回1失点の小山を交代。「数少ないチャンスの中で、『ここだな』というところ。攻撃に転じた」と、代打を送った。
勝負手〔2〕 その代打が井端。実は、中日時代から通算62打数22安打(打率・355)の“前田キラー”だった。最低でも、内野ゴロで同点。そのためにも、井端は最適な人材だった。