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まず、『女性』を『白人』に、『男性』を『黒人』に、『痴漢』を『犯罪者』に置換する。あとは文章が自然になるようにちょぼちょぼと。
すると以下のようになる。
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「白人専用車両」は黒人差別か? 黒人が車内で撮影した“白人の絶叫動画”が話題沸騰
白人専用車両に乗り込んだ黒人に対し、白人が「どうして黒人がいるの、気持ち悪い」と叫びだす動画がネットで話題となった。
これに対して、当初は
・ここまで黒人が怖いなら、あの白人は日常生活はどうしているのか?
・白人専用車両に乗ったからと言って法律で罰せられるわけじゃない
その一方で、
・嫌がっている白人に対して、黒人が終始、上から目線の態度なのはなぜか
という疑問のツイートもあった。
しかし、この動画をアップした人物は、白人にだけ専用車両があるという“黒人差別”に対して、普段から抗議の活動をしているようで、今回以外でも、白人専用車両に乗り込み、そのときの駅員などとの口論の様子をアップし続けていることが発覚した。
今回の動画が公開され、拡散されたことによって、決して少なくはない黒人たちが、白人専用車両に対して快く思っていないことがかなり明らかになった。もちろん、その理由には、日本の、特に東京の通勤電車がありえないほどの混雑にならざるをえないというのに、白人専用車両が空いているということだったり、今回の動画に限って言えば、白人のとった行動があまりにも感情的だったということも関係しているだろう。
しかし、白人専用車両が導入されることになった背景には、やはり犯罪者から白人を守るためということはある。
もちろん、すべての黒人が犯罪者でないことも白人たちは知っているし、犯罪者でない黒人を責めているわけではない。ところが、黒人たちは、「自分は犯罪者じゃないのに、なぜ白人車両を作って自分たちを疑ってかかるのだ」という方向に考えが向かいがちだし、それが「黒人差別だ」と訴える人もいる。
自分が犯罪者ではないことを知っているならば、「同じ黒人なのに犯罪者をするなんて、自分たちを貶める行為ではないか」とその矛先を、犯罪者をしてしまう黒人に向けてもよいのではないだろうか。
もしも「白人専用車両」があることで、誰かが差別されているとしたら、それは「黒人全体」ではなく、「犯罪をする人」だけに対してのことなのではないか。だとしたら、「黒人差別」に反対している人たちは、実は「犯罪者差別」に対して憤っていることになりそうだ。
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これを見て黒人(男性)が差別されていないと思う人は頭が沸いていると思う。
① AならばBである。
② BならばCである。
③ よって、AならばCである。
ここで女性専用車両を推進・擁護する側は以下の論法を使っている。
なるほど、確かにそれはほぼ正しい。ネットで記事を読むのが趣味の私でも女性の痴漢の話は滅多に聞かない。
なるほど、これにも同意する。妻が学生時代二日に一回は電車で痴漢にあっていたという話も聞いており、痴漢は女性にトラウマをもたらす許しがたい犯罪であると思う。
③ よって、男は差別してよい。
はて、この結論はおかしい。それは三段論法的に③を導くには、①が間違っているからである。
③の結論を出すためには、
という前提になっていなければならない。
③ よって、男は差別してよい。
これならば三段論法的に正しい。
しかし、男全員が痴漢ではない。これは自分を含む『痴漢行為を行ったことの無い男性』からすれば自明の事実であるし、男全員が痴漢であることを証明する統計資料もない。たぶんないと思う。ないんじゃないかな。
つ、つまり、誤った前提に基づいて誤った結論が導き出されている。
女性専用車両を推進・擁護する側は、それ単体で見れば正しい①と②を使用して、意図的にか無意識的にか、誤った結論である③を導き出している。
女性専用車両が不愉快なのは、車両の込み具合云々と言った矮小な点ではなく、それが論理的に誤っているから不快なのである。
男性を差別することのない痴漢対策が必要であろうし、現時点でそれが見つかっていない、実行できていないのであれば国民全員で議論する必要がある。
差別の歴史を振り返ってみれば分かるように、大多数の人々が『それが正当な区別である』と受け入れ、声をあげるのをやめた時、差別は完成するのである。