今年に入ってからの山西省高官の失脚をまとめてみました。
2月27日 金道銘・省人大副主任あらためてまとめると、焼け野原状態ですね。
6月19日 杜善学・副省長、令政策・政協副主席
8月23日 聶春玉・省委秘書長、陳川平・太原市委書記
8月29日 白雲・統一戦線部長、任潤厚・副省長
1日、ついにトップの書記が解任されました。普通に考えれば引責辞任ですが、そうではありませんでした。
山西省委主要責任同志の職務調整 王儒林が省委書記に(新華社 2014/9/1)
先日吉林省委書記を解任され、他に職務が用意されているという意味の、「另有任用」状態となっていた王儒林が山西省委書記にスライドし、これまで書記を務めていた袁純清が解任されています。
それだけなら単なるトップ交代に過ぎないのですが、通常であれば副部長が担当すべき省委書記の交替宣言を、中央組織部長の趙楽際自らが行っているのです。
私の記憶では、部長自らが出張ったのは、王楽泉、薄熙来といずれも政治局委員の解任だけだったはず。通常の交替ではないことを示唆しています。
さらに、常務委員の1人である劉雲山が、交替を宣言した省委指導幹部大会に出席。常務委員がこの手の大会に出てきたことってありましたっけ?しかも発言は袁純清に対する死刑宣告のような内容です。
「山西省の政治生態には少なくない問題が存在し、党風・清廉な政治の建設と反汚職闘争の形成は非常に厳しい」と問題を指摘した上で、「山西省委は真剣に汚職事件を真剣に総括」するよう求めています。
袁は公式では「另有任用」ですが、実際には全国人大の環境資源保護委員会副主任か、中央農村工作指導小組副組長と、いずれにしても閑職をあてがわれる模様。しかし、そのまま北京に護送のような気が。
そういえば、8月30日に開かれた、党中央に対する白雲、任潤厚処分への支持表明大会では、袁の名前は出てきませんでした。
同日午後から開かれた省政府会議では、李小鵬が会議を主催したことがしっかりと書いてありますし、29日に省委書記名義で袁が『求是』紙に反腐敗をテーマとした文章を掲載していますので、30日の会議前に書記を解任されたと思われます。
となると、新しく山西省の書記となった王儒林や、王の後任として省長から昇格した巴音朝魯、省長代理となる蒋超良(前中国農業銀行董事)は習近平がそこそこ信用しているということになりますね。
山西省の一連の失脚劇は政財界の癒着が原因となっていますが、時を同じくして、省内最大の国営企業で、晋能集団の劉建中・董事長、曹耀豊・総経理が連行されています。
この2人は殺人教唆、詐欺、マネロン、賭博、贈賄、売官と悪事には一通り手を染めたことになっている金業集団の董事長で、省の地下組織部長の異名を持つ張新明に関連しての逮捕となっています。
これは楽しくなってきましたねえ。今のところは無傷の李小鵬もただでは済まないかもしれませんよ。