【モスクワ=石川陽平】親ロシア派武装勢力と政府軍の戦闘が続くウクライナ東部情勢を巡り、ロシアのプーチン大統領は3日、ウクライナのポロシェンコ大統領と電話で協議し、7項目の停戦案を提示した。両大統領は大筋で合意し、ウクライナ政府と親ロ派らによる5日の協議で最終的な合意をめざす。危機打開へ前進した形だが、和平につながるかどうかは予断を許さない。
プーチン氏が訪問先のモンゴルのウランバートルで記者団に明らかにした。プーチン氏はポロシェンコ氏に7項目の停戦案を示したと述べた上で、5日の協議で「最終的な合意がウクライナ政府と東部(の親ロ派)との間で達成できると思う」と強い期待を示した。
5日にはロシアとウクライナ両政府や欧州安保協力機構(OSCE)、親ロ派武装勢力の代表による非公式な「連絡グループ」の会合がベラルーシのミンスクで開かれる予定だ。ウクライナ大統領府も、ポロシェンコ、プーチン両大統領が「和平実現を促進する措置に関して相互理解に達した」と指摘した。
プーチン氏が提示した7項目の停戦案は(1)活発な攻撃を互いに停止する(2)停戦条件が守られているかを監視する国際的体制をつくる(3)捕虜全員を交換する――などが柱。親ロ派を軍事的に支援しているとされるロシアが具体的な和平計画を提示したのは初めてで、混乱の収束へ前進する可能性がある。
ただ、5日の「連絡グループ」の協議の行方は不透明だ。9月1日の前回会合で、親ロ派は東部に高度な自治権を持つ「特別な地位」を与えるように要求した。東部がロシアの影響下に入ることを恐れるウクライナ政府が拒否し、話し合いは平行線をたどった。仮に停戦で合意しても、和平定着の道は険しい。
ロシアとウクライナが停戦案で大筋合意した背景には、東部の戦闘が5カ月近くに及び、双方に停戦への機運が高まっていることがある。ロシアは、経済的な結びつきの深い欧州や米国との関係断絶は避けたいのが本音だ。ウクライナ軍は8月中旬以降、ロシアからの軍事支援が強化された親ロ派武装勢力の反撃で、劣勢に転じていた。
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