内閣改造の全舞台裏 中国攻略&長老分断で長期政権の足場固め (2/2ページ)

2014.09.03


第2次安倍改造内閣・自民党執行部“内定”リスト【拡大】

 二階氏も就任会見で「(日中が)お互いに信頼感を醸成することが大事だ」と語り、日中外交筋は「中国側とすれば、これだけ中国人脈を起用されてしまえば、関係改善せざるを得ない」と述べる。

 一方で、日韓議員連盟会長の額賀福志郎元財務相や、同議連幹事長の河村建夫選対委員長、副幹事長の船田元憲法改正推進本部長らは処遇されなかった。日韓外交筋は「日韓関係は米国が間に入って改善に動いているし、日中関係が良くなったら韓国も焦る」と指摘する。韓国は脇に置いて中国を優先する姿勢を鮮明にした形だ。

 谷垣氏起用の、もう1つの計算とは何か。前出の浅川氏は「長老分断の思惑が込められている」と語る。

 今回の人事の背後では、青木氏と森喜朗元首相が石破茂氏の幹事長留任を求め、これに古賀氏が加わる長老グループが、党内での影響力を取り戻そうとする動きを見せていた。

 特に古賀氏は、特定秘密保護法や、安倍首相が進める集団的自衛権の行使容認を公然と批判していた。野田聖子総務会長を裏で操り、「反安倍」の広がりを画策した。

 実は、幹事長の谷垣氏にとっても、古賀氏は仇敵中の仇敵なのだ。

 2012年9月の総裁選では、古賀氏が「谷垣降ろし」を策動して総裁選不出馬に追い込み、宏池会(現岸田派)が再び分裂するきっかけとなった。その谷垣氏を党ナンバー2に起用することで、古賀氏の動きを封じ込めるというわけだ。

 半面、安倍首相は、青木氏や森氏には一定の配慮を見せた。

 小渕氏は、青木氏が「将来の首相候補」として大事に育てている人材で、竹下氏は、青木氏が秘書として仕えた竹下登元首相の実弟。この2人が内閣に入れば青木氏は「反安倍」の動きを取りづらくなる。

 森氏に関しても、お気に入りの松島みどり氏を初入閣させることでメンツを保つことができた。経産相からスライドした茂木敏充選対委員長は、青木氏が実質支配する額賀派出身だが、「ジジ殺し」の異名を持ち、森氏との関係も良好だ。

 「中国攻略」と「長老分断」という2つの計算が込められた今回の人事。佐藤栄作元首相は巧妙な人材配置で「人事の佐藤」と呼ばれたが、「人事の安倍」と呼ばれるきっかけとなるかもしれない。

 

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