安倍晋三首相は3日、内閣改造・自民党役員人事を断行した。総裁経験者として異例の起用となった谷垣禎一幹事長や、2度目の就任となった二階俊博総務会長など、中国とのパイプが太い人材を党や閣内の要所に配置し、習近平国家主席率いる中国を攻略するシフトを敷いた。さらに、青木幹雄元参院議員会長や古賀誠元幹事長ら、不穏な動きを見せていた長老グループを分断する意図も感じられ、長期政権に向けた足場固めを狙った人事といえる。
「安倍首相の下、一致結束して課題に適切に応えていく」
安倍首相が、党ナンバー2として白羽の矢を立てた谷垣氏は3日午前、新執行部発足を受けた記者会見で、こう意気込みを語った。
永田町周辺では、幹事長候補として、小渕優子元少子化担当相や小泉進次郎内閣府政務官の名前まで挙がっていたが、安倍首相は早い段階から谷垣氏に狙いを定めていた。盟友の麻生太郎副総裁兼財務相に調整役を依頼し、今週に入って谷垣氏に直接打診した。
「来年4月の統一地方選を乗り切るためには、野党時代に党をまとめた谷垣さんの力を貸してほしい」
安倍首相はこう言って谷垣氏を口説いた。谷垣氏の起用には「2つの計算」が見え隠れする。
1つは、党・内閣に親中派をちりばめ、中国に関係改善を迫るという計算だ。対中関係を重視してきた谷垣、二階両氏が党四役入りするのに加え、高村正彦副総裁も日中友好議員連盟会長を務めている。経産相として入閣する小渕氏や、復興担当相の竹下亘党組織運動本部長も中国共産党内に人脈を持つ。
政治評論家の浅川博忠氏は「今回の人事は中国シフトだ。経済再生のためにも対中関係改善は必要で、親中派を要職に就けることで中国にメッセージを送っている」と語る。