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「親子の暮らし」か「子供の保護」か 対応難しい児童虐待 ――児童相談所インタビュー

THE PAGE 9月3日(水)15時50分配信

虐待を受けてもまた家に帰ろうとする子供たち

三村:児童相談所は、一時保護という形で子供の安全をはかり、その後、児童福祉法で18歳になるまで子供を預かることができるんですね。しかし18歳までの間、ずっと施設に預けているのか、あるいは施設に預けるといっても、親御さんの了解ぬきにしては預かることができていないのが現実なんですね。もちろん了解がなくても裁判所の判断を経て施設に入れるということはやります。でも小さいお子さんがずっと親元を離れて生活をしていいのか、親が「自分が悪かった、自分のやった虐待は子供にとってマイナスだった」と気が付けば、児童相談所としてはなんとかして親元に(子供を)帰すことはできないんだろうかと常に考えていかなければなりません。

国は極力、子供を在宅に、家庭に戻すことを考えなさいということを児童相談所にも、あるいは子供を支える地域の方にも訴えているわけですね。だからこそチャンスがあれば、子供を地域の中で、あるいは地域の協力を得ながら親元に帰せないかと努力をするんですね。その際に、親ときちんと話ができているのかどうか、そこがポイントになってくるのかなと思います。そして親子を支える地域のネットワークができているという判断ができれば、やっぱり「帰す」ということを中心考えたいと思っているんです。

子供を一時保護したり、あるいは親の了解で施設に入所させたりする場合はありますが、それでも子供は、苦しかった話しやつらかった話をしばらくたつと忘れたいという気持ち、忘れようという気持ちが出てきます。お母さんのところやお父さんのところに戻りたいという気持ちがしばらくすると出てくる子供が実は多いんです。時間がたてばたつほど、つらかった気持ちを忘れてしまうので、「なんで私は僕はおうちへ帰れないの?」ということを言う子供たちが多いんです。

子供にとって施設は幸せで、確かに危険がない一つの場所であるかもしれませんが、親の愛情と職員の愛情を比べてしまうと、子供自身はやはりお父さんお母さんの愛情をとってしまいます。だからこそ危険がなかったことを思い出して、うちへ帰りたいという子供が多いんですね。場合によっては施設から勝手に帰ってしまう子供もいます。

そうしないためには、やはり児童相談所は親と常日頃から話しをして、本当に帰って大丈夫なのか、あるいはお母さんお父さんがどの程度考え方を変えたのか、ということをいつも把握していなければいけない。施設に入所させた後も、それから親との話し合いを密にしていくということをやって、自宅に帰ることが出来るのかどうかみることを常に求められています。

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最終更新:9月4日(木)2時2分

THE PAGE

 

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