「親子の暮らし」か「子供の保護」か 対応難しい児童虐待 ――児童相談所インタビュー
THE PAGE 9月3日(水)15時50分配信
全国の児童相談所が今年3月までの1年間に対応した児童虐待の件数は7万3765件で、統計を取り始めて以来、過去最悪の数字となった。虐待問題にどう対応していくのか、施設や児童相談所など、虐待問題に30年近く携わってきた東京都・児童相談センターの三村一典さんに話を聞いた。子供を保護するのか、帰すのか。大きな被害を出す前に、虐待の火種をいかに発見し食い止めて行くのか。現場では、日々難しい判断を迫られている。
【動画】「親子の暮らし」か「子供の保護」か ――児童相談所インタビュー
――児童相談所とは、虐待の問題にどのような対応をする場所でしょうか。
三村:児童相談所は、虐待だけでなく、子供の問題・家族の問題全てにおいて、いろいろな相談を受け付ける機関です。そしてその中で最近多くなってきているのが虐待問題の相談です。
まず、児童相談所にいろいろな形で連絡が入ってきます。通告と呼んでいますが、通告をまず1人のスタッフ・児童福祉司が受けます。それを児童相談所の組織の中で、どういう通告があったのかを周知し、「このケースはどういうケースなのか、どういう中身なのか」ということをみんなで調査して、判断をします。
当日いるスタッフがたくさんの情報を集めてきて、それを緊急受理会議という児童相談所の一つの会議で、当日いる人間・児童相談所長、管理職などを集めて、集まった情報をまず精査します。その精査のなかでその子供を一時的に保護したほうがいいのか、地域のいろんな支援・サービスを提供すれば今起きている問題をクリアするのかという判断をまずしなければいけない。いやその前にまず子供を見てきてから判断しようということもあります。今集まった情報をまず一つに集めて、それを所のなかで合議をし、そして次の方法をきめます。そしてまた次の調査を持ち帰って、どうするこうする……という形で対応していますね。
そして緊急に子供を保護しなければいけない大きな虐待を受けている、大きなけがをしている場合は、すぐに子供の身の安全をはかろうということで一時保護することを考えます
子供を預かっている以上は、24時間365日です。施設で預かってはいるけれど、子供は生身の体ですから、いろいろなことが起きますし、24時間365日、施設の方から児童相談所の方に連絡がくるということはあります。そしてすぐに判断をして、施設のほうに担当の児童福祉司が、あるいは他のものが情報を集めにいくということはやりますね。
最終更新:9月4日(木)2時2分
読み込み中…