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政治
【正論】朝日は脱皮せねば「化石」になる 東洋学園大学教授・櫻田淳
筆者は、朝日新聞が「『普通の国』のリベラル思潮やハト派姿勢」を体現するメディアに脱皮することを望んでいる。ベトナム戦争時にハンス・J・モーゲンソー、そしてイラク戦争開戦時にジョージ・F・ケナンが、それぞれ「政治的リアリズム」の観点から往時の米国政府の戦争対応を批判したけれども、日本が「普通の国」になった後でこそ、その折々の政府の政策対応に対する冷静にして合理的な批判の受け皿になるメディアの役割は、「言論の多様性」を担保する意味からも大事になる。
≪戦後平和思潮への帰依捨てよ≫
しかしながら、その脱皮には、2つの前提がある。それは、第1に「日本のナショナリズムに対する盲目的な批判」の惰性から抜け出すことであり、第2に憲法第9条に体現される異様な戦後「平和」思潮への帰依を捨てることである。これらの惰性や帰依は、どれほど知的な衣装を纏(まと)おうとも、現実の対外政策課題を前にした「思考停止と知的怠惰」の反映に過ぎない。然(しか)るに、「普通の国」への動きに抵抗し続けるならば、そして「慰安婦虚報」を世人の誰もが納得できる体裁で総括しないならば、朝日新聞の「『普通の国』のリベラル・ハト派メディア」への脱皮は遠のくであろうし、そのメディアとしての「信頼性」は毀損(きそん)されたままになるであろう。朝日新聞にとっては、「慰安婦虚報」で揺れる今が、その脱皮への好機かもしれない。
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