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政治
【正論】朝日は脱皮せねば「化石」になる 東洋学園大学教授・櫻田淳
朝日新聞の「慰安婦虚報」問題が引き起こした波紋は、相当な広がりを持つことになりそうである。産経新聞に続き、読売新聞も、「慰安婦虚報」の検証に乗り出した。他のメディアによる朝日新聞批判も止(や)まない。朝日新聞にとっては、状況は旗色の悪いものになっている。
≪対中、対韓悪化の下地作った≫
従来、朝日新聞の論調には、「兎(と)に角(かく)、日本のナショナリズムは抑えなければならない」という認識が一貫して反映されてきた。この認識からは、対中関係や対韓関係でも、「日本がナショナリズムを抑え、中国や韓国に譲りさえすれば、万事丸く収まる」という発想が出てくる。「慰安婦虚報」も、こうした「日本のナショナリズムを抑える」という意図に沿うものであったからこそ、根拠の乏しい記事が紙面に載り、その後に訂正されることもなく三十余年も放置されてきたのであろう。
しかし、「日本のナショナリズムを抑える」という盲目的な姿勢は、朝日新聞が懸念する「ナショナリズムの危険」に向き合うにはあまり役立たない。それは、アルコールの害悪に対処するために、「禁酒法」制定で臨むようなものであるからである。ナショナリズムは、適度であれば近代国家における「国民の統合」を担保する条件になるけれども、過度であれば対外関係に無用な摩擦や軋轢(あつれき)を生じさせる。ナショナリズムに絡んで大事なのは、その「節度」を見極める議論に他ならない。
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