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政治
【正論】朝日は脱皮せねば「化石」になる 東洋学園大学教授・櫻田淳
今や、対中関係も対韓関係も「最厳寒期」の様相を呈し、日本でも対中感情や対韓感情は明らかに冷却したままだ。それは、朝日新聞が決して望まなかった風景かもしれない。「日本のナショナリズム」を無理矢理に抑えようとして、かえって対中関係や対韓関係の異様な光景が出現する下地を作った。「慰安婦虚報」を含めて朝日新聞の論調には、そうした風情がある。先々、万一、「日本のナショナリズム」が暴走するとすれば、朝日新聞もまた、その「節度」の見極めに資さなかった責任の一端を負わなければならない。
≪現在進行形の蛮行には鈍く≫
加えて、朝日新聞は、「慰安婦虚報」で問われるべき事柄の本質が、「女性の人権侵害」にあると主張している。それは、「リベラル・メディア」にふさわしい見方であろう。そうであるならば、たとえばナイジェリアに暗躍するイスラム過激派、ボコ・ハラムの蛮行は、朝日新聞の論調の中では、どのように評価されたのか。
「数百人の少女を暴力で拉致して、売り飛ばす」という蛮行は、朝日新聞が「慰安婦虚報」を通じて告発しようとした「女性の人権侵害」の風景が現在進行形で再現されたものであるといえる。ボコ・ハラムの蛮行がこの5月8日に世界に伝わった後、この件を社説で取り上げたのは、毎日、産経両紙が最も早く5月11日付であり、読売新聞が15日付、東京新聞が17日付で続いた。朝日新聞は、事件露見から2週間近くたった19日付で漸(ようや)く取り上げている。ボコ・ハラムの蛮行に対する反応が最も鈍かったのは、実は朝日新聞なのである。「リベラル・メディア」の看板に偽りがなければ、こうした現在進行形の案件に対する反応の鈍さは、十分な反省に値しよう。
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