第1次安倍内閣時代の2007年1月、地方で開催された自民党の集会で、柳沢伯夫厚労相(当時)は女性を「産む機械」になぞらえた。少子化問題を取り上げる中で「(子どもを産む)『装置』の数は決まっているので、(女性)一人一人にがんばってもらうしかない」と語った。また今年4月、衆議院では、30代前半の女性議員に対し、多数の男性議員が「早く結婚して子どもを生め」と叫んだ。6月には都議会で、30代半ばの女性議員が妊産婦支援政策について質問していたところ「早く結婚しろ」「子ども生めないのか」というやじが飛んだ。
韓国政界で「産む機械」のような品のない発言をしたら、数日と持たないだろう。しかしこの発言を行った日本の厚労相は、首相から注意されただけだった。やじを飛ばした男性議員も、公の場で謝罪しただけだった。日本の男性は、女性をいいかげんに扱いがちだ。少なくとも、韓国の特派員の目にはそう映った。
長期不況が始まったばかりの1990年初めごろ、日本で「OLブーム」が起きた。家にとどまっていた高学歴の女性が大挙して社会に進出し、消費市場を変えていった。若い女性は、お金をためて年に何度も海外旅行に出掛け、ブランド品を買った。中年の女性は、これまでばかにされてきたことを胸に秘め、夫が定年退職するやいなや、夫に離婚届を突き付けた。しかし反撃もここまでだった。
今春、日本の金融街は、2大銀行に初の女性役員が誕生したというニュースで騒然となった。同じころ、韓国の銀行では初の女性頭取が誕生していた。米国の調査会社が、45カ国の大企業5977社を対象に女性役員の数を調査した結果、日本は1.1%で最下位だった。女性の出世が最も難しい国、というわけだ。韓国は1.9%だった。日本で初の女性閣僚が誕生したのは、憲政が始まってから71年後の1960年のことだった。1948年の政府発足と同時に女性閣僚が誕生した韓国よりも遅かった。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の就任も、日本では衝撃だった。「なぜ日本には女性の首相がいないのか」という論文も出ている。
安倍首相が、今年40歳になる小渕優子議員を、自民党初の女性幹事長を含め要職に起用することを検討しているという。1998年に金大中(キム・デジュン)大統領と「新たな韓日パートナーシップ宣言」を発表した小渕恵三首相の娘で、当選5回の衆院議員だ。閣僚経験もあり、「日本酒を愛する女性議員の会」会長を務めるほどアルコールも好む。韓国の若い議員とも親しい。小渕氏が自民党の幹事長になれば、日本の全女性がそろって乾杯するに値するだろう。