反社会的勢力との取引は、マネーロンダリング(資金洗浄)を防止するという観点からも、国際的に問題視されている。反社会的勢力への融資を防止するための国民銀行のデータベースは、日本国内の審査基準を満たしておらず、さらに審査体制も不十分だった。
一部の報道によると、国民銀行の東京支店をめぐり、韓国でも裏金作りが行われており、不正融資の総額は数千億ウォン(数百億円)に達する可能性もある。また、国民銀行は韓国本国においても個人情報を流出させるなど、トラブルを頻発させている。
国民銀行の東京支店は、金融庁の調査が入った13年時点から「暗い話題」が頻発していた。同年12月16日、国民銀行東京支店で融資業務を担当していた在日韓国人の行員が、支店地下にある書庫で首をつって死んでいるのが発見されたのだ。
その5日前、韓国の検察は、不正融資の謝礼として金品を受け取った容疑で、国民銀行の元東京支店長と元副支店長を逮捕している。2人は東京支店に勤めていた11年ごろ、返済能力がない企業2社に不正融資を実施し、見返りに金品を受け取った疑いがもたれているのである。不正融資の規模は、韓国の金融監督院が確認した1700億ウォン(約167億円)を大幅に上回る可能性があると報道されている。
ちなみに、韓国の国民銀行は「国民」銀行と名乗りながら、実は株式の63・89%を外資系に握られている。韓国の大手銀行はウリィ銀行を唯一の例外に、ことごとく外資系というのが現実なのだ。
ある意味で、韓国の国民銀行は、銀行までもが外国資本に支配され、利益(株主への配当金の原資)のためなら何でもやるという、グローバル経済の植民地と化した韓国を「代表する銀行」と言えないこともない。
■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は「経世論研究所」所長。著書に『いよいよ、韓国経済が崩壊するこれだけの理由』(ワック)、『愚韓新論』(飛鳥新社)、『マスコミが絶対に伝えない 「原発ゼロ」の真実』(TAC出版)など多数。