デング熱の死亡率は0.1%未満なのでちょっと落ち着こうよ

nhk-scs

タイトルが言いたいことのほぼすべてなんですが。

マスコミが「デング熱パニック」などと名づけて大いに煽っておられますね。とくに日刊ゲンダイさんのこの見出しとかどうなんでしょうか。

日刊ゲンダイ|致死率50%にも…デング熱がエボラ級に重症化する“条件”

NHKさんをはじめとする放送各社の防護服を着た職員が殺虫剤を撒く映像なども、いかにも「危険な伝染病が蔓延している」とアピールしたそうに見えてしまい辟易しました。

デング熱 新たに12人の感染確認 NHKニュース

えーと、釣れればそれでいいのかよ、と。

重症型のデング熱については厚生労働症検疫所の記述が詳しかったので引用します。太字は私の編集です。

重症型のデング熱は、疾患の影響や進展に関して経験のある医師と看護師による医療により救命でき、20%以上の致死率を1%未満に減少させることができます

引用:デング熱と重症型のデング熱について (ファクトシート)|厚生労働症検疫所

はい、重症型でもエボラ並みの死亡率になんてならないそうです。つか、医療体制の整わない発展途上国と日本の死亡率を比べてなんの意味があるんですかね。極めてけったくそ悪いです。

そんで、稀だと言われる重症型のデング熱だけではなく、軽症も含めた際のデング熱の死亡率はどうなのか。東京新聞さんにこんな記載がありました。

デング熱は、アジアやアフリカなどで毎年約一億人の患者が出ているとされる。発症者の1~5%ほどが重症化するため注意は必要だが、治療で回復する。海外で感染し帰国した人は一九九九年以降、計約千五百人いるが、死亡は一人だった。西條部長は「比較的良性の疾患で、それほど怖がらなくていい」と説明する。

引用:東京新聞:これまでも隠れた感染? デング熱、新たに19人:社会(TOKYO Web)

1,500名の患者の内、死亡は1名だそう。確率的には0.1%未満というわけです。

また、デング熱はエボラのようにヒトからヒトへの感染はしないため、公衆衛生の行き届いた日本ではパンデミックの危険は低いと素人でもわかります。

いや、正直に言えば、はじめはこの記事のタイトルも「デング熱には特効薬や予防薬はない。しかし死亡率は0.1%未満」みたいな感じにしようかと思ったんですよ。そっちの方が目を引きますし、SEO的にも「デング熱 特効薬」や「デング熱 予防」といったキーワードが狙えておいしいです。

でもさあ、そういう腐肉を食らうようなキーワードでアクセスを集めてもさあ……。

あ、ちなみに特効薬や予防薬がないことは事実ですが、それをことさらに恐れる必要はありません。風邪だって、いまだに特効薬も予防薬も存在しないんですから。

関連小説コーナー

はい、なんかくさくさしたのでデング熱にビットが立った人たちが関心ありそうな小説を紹介してみます。殺虫剤や虫除けスプレーとか相性よさそうだけど、不安を煽っているみたいで嫌ですしね。鳥インフルエンザが流行ったときのマスク商法みたいなのはホント吐き気を催しますし。

そんなわけではい、ひとつめは「黒い春(山田宗樹)」でも紹介してみましょう。

黒い春(山田宗樹)

「口から黒い粉を撤き散らしながら絶命する黒手病」という謎の疫病を中心に据え、バイオホラー、ミステリ、伝奇小説をミックスして消化しきれなかった感じのこの作品。詰め込みすぎ&展開を急ぎすぎなところもありますが、ぐいぐいと引き込まれるパワーがあります。「嫌われ松子の一生」や「聖者は海に還る」の著者といえばピンとくるでしょうか。わりと印象に残っている作品です。

アウトブレイク(映画)

エボラ出血熱をテーマにした映画ですね。ちっこいお猿さんが牙を剥いているトレイラーが印象的だったのでその動画を貼りたかったんですが、Youtubeでは見つけられなかった。さすがに古いか。

天冥の標 2 救世群(小川一水)

全10巻予定の大河SF作品です。文句なしに面白い。銀英伝とか好きな人なら絶対ハマるんじゃないかな。現在は8巻のパート1まで出ているんですが、いよいよ膨大な伏線が解き明かされていくところで、わくわくしつつももうすぐこの物語も終息してしまうのかと残念に思います。だいたい半年から1年に1冊ずつ出ている模様。

このブログでも全巻の感想を書くなんて記事を上げているんですが、実は7巻以降の感想をまだ書いていなくて具合が悪いなあ……とか。

それはともかく、この天冥の標という作品では「冥王斑」と呼ばれる凶悪な感染症にかかった人々が重要な役割を演じます。以下にリンクを貼ります第2巻は近未来を舞台にした防疫の苦闘をテーマとしており、独立した作品としても読めるんじゃないかなと。

まあ、これを読んだら絶対前後も読みたくなると思うんですけどね。天冥の標ファン、増やしたい。

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