焦点:プーチン氏、「国家の地位」協議呼び掛けでウクライナに圧力
[モスクワ 1日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領が8月31日にウクライナ東南部の「国家としての地位」に関する緊急会合の開催を呼び掛けたことについて、大統領報道官はその後、親ロシア派の独立を要求したわけではないとあわてて記者団に説明した。
しかし戦闘地域で親ロシア派がロシア軍の支援を受けて目を見張る戦果を挙げている点を踏まえれば、プーチン氏がこうした協議を持ち掛けてきたことは、ウクライナにとっては良くない兆しといえる。
プーチン氏が紛争地域に関して公式の場で「国家としての地位」に言及したのはこれが初めて。その意味合いは、ウクライナが親ロシア派と早期に和解できなければ、今よりもはるかに大きな要求を突きつけられる可能性があるということだ。
ロシアの外交専門誌ロシア・イン・グローバル・アフェアーズの編集責任者ヒョードル・ルクヤノフ氏は「プーチン氏の発言は、意識的か無意識的かはともかくとして、状況が長引き、ウクライナが話し合いに応じるまでに時間がかかるほど、事態は悪化していくことをほのめかしている」と指摘した。
その上でルクヤノフ氏は、過去1週間で親ロシア派が軍事的に優勢となったことを受け、「ウクライナの指導者は少なくとも、ロシアから『ウクライナは何をやってもこの戦争に勝てない。だから無期限に今の状況を続けるか、そうでなければ(プーチン氏が)31日に発言したように実質的な協議が必要になる』と告げられていると思う」と述べた。
さらに重要な言い回しの変化としては、親ロシア派がウクライナ東部に使用してきた「ノボ(新)ロシア」という名称を、ロシア政府も使う頻度を増した点が挙げられる。
プーチン氏が「ノボロシア」を初めて使用したのは今年4月。ウクライナ側はこうした名称が極めて挑発的とみなし、ロシアによる領土簒奪という帝国主義的野望を物語ると批判している。
プーチン氏の報道官は8月31日、再び「ノボロシア」という名称を使ったほか、同29日付のロシア政府のサイトで公表された親ロシア派向けメッセージの表題が「プーチン大統領がノボロシアの民兵に訴えかけた」と記された。 続く...
「国家の地位」発言の思惑
ウクライナ東南部に関し、初めて「国家の地位」に言及したロシアのプーチン大統領。その思惑とは。 記事の全文