レジー「前回に引き続き今年のひたちなかの話を。最後にちらっと書きましたが、ここからはこのフェスの運営的な部分でいくつか気になった点があったりしたので備忘も兼ねて書き残しておきたいなと」
司会者「どのあたりが気になりましたか」
レジー「まずはクイックレポートについて。たぶんこれはここ数年、もしかしたらフェスが始まってからずっとこういう傾向があったのかもしれないけど、今年はたまたま自分がそういう場面に出くわすことが多かったので取り上げます。自分が見たライブで面白かったMCがいくつかあったんだけど、それがことごとくクイックレポートではカットされてたんだよね。具体的にはこんな感じです」
宇宙まお
(“あの子が好き”をやる前に)「くるりが始まっちゃう前に一番有名なのやるから、これだけでも聴いてって!」
ソウルフラワー
(“海行かば 山行かば 踊るかばね”のラスト)「安倍はやめろ」「再稼働反対」「憲法壊すな」
中田裕二
「縦ノリさせねーからな!」「どうだ、今日はこれ(人差し指掲げてジャンプする仕草)一回もやらせてないだろ!」
ハイエイタス細美
「ガイガーカウンターで実際に会場の線量を測ってきました」
司会者「線量周りの話はシアターブルックのMCでも触れられてたみたいですね。こちらもクイックレポートには載ってませんでした」
レジー「もちろんまあいろいろ事情があるんですねで終わってもいい話なんだけど、ここまで何でもかんでもカットされてるとクイックレポートの役割って何なんだろうなあとか思ってしまいました」
司会者「今はツイッターとかでクイックレポートよりも早くセットリストとかMCとか出てきちゃいますからね」
レジー「昔は空いてる時間にPCのあるブースまで行って公式サイトからクイックレポート見て、おーこんな曲やったのか!とかって思ってんたんだけど、今はスマホで軽くツイート検索すれば大体雰囲気分かっちゃうもんね」
司会者「そう考えると、クイックレポートと言いつつ「本当にクイックに状況を知りたい人」のニーズには応えられていないんですかね」
レジー「なんかそんな気がしてきた。SNS前の時代は当日にイベントの様子がわかるって時点で「紙媒体と比べクイックなレポート」って意味になってたけど、今は「ツイッターに比べるとクイックじゃないレポート」になりつつあるのかな。もちろん全アーティストが必ずそういう状況になるわけではないから存在意義がないってことはないと思うんだけど」
司会者「ライブ終わってしばらくしてからまとめていくつかのステージの様子を確認したり、もしくは自分が行ってない日の状況が知りたかったり、そういう使われ方になってるのかも」
レジー「そう考えると「クイックレポート」ってものが登場した時代よりもアーカイブ性が求められるようになってるのか。というか自分が名前に惑わされてただけで最初からそうだったのかな?だったらもっとちゃんと練って文章書いたほうがいいような。ほんとに「クイック」にこだわるなら、「MC書き起こし」「セットリスト」「写真」だけをライブ終了直後に配信したほうがいい気がする。これならすごい価値があると思う。手癖で書かれた中途半端な形容詞とかいらない」
司会者「でもきっと掲載できないMCがいっぱいあるからできないんですよそれは」
レジー「政治的な話を載せられないってのは仕方ない部分もあるのかなと思うんだけど、宇宙まおとか中田裕二のも載せないってのはねえ。ちょっとでも「他のアーティスト」とか「客のあり方」とかに触れた瞬間にダメなんだろうね。で、今年はそんな「クイックレポート事情」をあざ笑うかのような情報発信をしたアーティストがいました。これです」
司会者「Negiccoが出演の翌日に自分たちのステージの模様をノーカットでYouTubeにアップしました。袖からの映像なので分かりづらい部分もありますが、ライブの雰囲気はクイックレポートよりもよっぽど伝わってきます」
レジー「これすごいよね。今までやってた人記憶にないんだけどいたのかしら。これ見るとクイックレポートの蛇足感が際立つね。特にNegiccoのはラインダンスに触れてなかったりよくわかんない表現があったりだったから」
司会者「9分50秒くらいからラインダンスを煽ってますけど、この映像だけだとお客さんが足を上げてるかどうかまではわかんないですね」
レジー「横に並んでジャンプしてる人たちは全員やってたという認識でいいと思うよ。ただ、これ見るとこのステージの人全てがやっているわけじゃない、あくまで「一部の盛り上がり」だということがわかる。で、たぶんこのラインダンスは今回物議を醸した「応援行為」に該当するんだと思うんだよね。だからこそどう考えてもライブのハイライトなのにクイックレポートに載ってない。というわけで、次にそのあたりの話をしたいと思います」
司会者「「応援行為禁止」という話については公式サイト及びこちらのツイートをご覧ください」
今年からロック・イン・ジャパン・フェスは「応援行為禁止」になったようです。ステージ後方でヲタ芸打ってた集団にスタッフが走り寄って、注意して止めさせてた。 pic.twitter.com/7cWTO0ZXY4
— 柴 那典 (@shiba710) August 9, 2014「応援行為禁止」の先にある(かもしれない)もの
レジー「応援行為の話の前にNegicco以外のアイドルの感想はというと、まあいつもどおり楽しかったって感じで。ゆっふぃー初めて見たけど楽しかったし、リリスクも超気合入ってた。ただ、特に10日は人が少なかった印象がある」
司会者「9mmと10-FEETの裏でした」
レジー「今回応援行為禁止話で「アイドルファンの集客に頼ってるくせになんでこんなことを・・・」みたいな話が出てたけど、実際問題としてアイドルが出ることによるこのフェスの集客への影響って大してないんだよね。たぶんTOKIOクラスでニュースバリューのある人たちだったり、女性グループで言えばももクロとかじゃない限り「客寄せ」にはならないと思う」
司会者「アイドル出る前からソールドアウトが基本のフェスですしね。しかしじゃあなんでアイドル出してるんですかね」
レジー「よくわかんないけど、たぶん「このフェス参加者のマジョリティにとってのいわゆるど真ん中のアクト(9mmや10-FEET、あとはKANA-BOONとかゲスとか)」から同心円を描いていくと、まあまあ近いところに女性グループアイドルが出てくるんだろうね。それこそソウルフラワーやシアターブルックよりよっぽど近い。下手するとくるりやユニコーンよりも近いかもしれない。この辺は前回書いた「ベテランロックバンドにとってこのフェスはアウェー」って話ともつながるんだけど。だから「新しい客を呼び込むため」じゃなくて、「主要な客層」を「満足させる」ために出演者を埋めていくと自然とグループアイドルが出てくるっていう構造なのかなと。今までは「なんだかんだ言っても「ロック」と「アイドル」ってそんなにリスナー層かぶってないのでは、フェスに来る「ロック好き」はアイドル興味ないのでは」とも思ってたんだけど、どうやらそういうことではなくなってきてる気がする」
司会者「「アイドルを客寄せに使うロックフェス」というピント外れの嘲笑と合わせて、「ダイブモッシュ禁止のフェスに何を言っても無駄」みたいな意見もありましたね」
レジー「あったあった。ここについても確認しておいたほうがいいことがあって、ひたちなか含めた「4大フェス」は全てモッシュもダイブも禁止です」
<フジロック>
モッシュ、ダイブ等危険な行為は禁止です。このような危険な行為で他の来場者が被害を受けた場合は当事者同士で解決して頂きます。
<サマソニ>
ダイブやモッシュなどは大変危険な行為の為、一切禁止致します。このような行為が発生しないよう、主催者側は最大限の努力を致しますが、ダイブやモッシュなどの行為により起こった事故、事件、負傷等について、主催者、会場、アーティストは一切責任を負いませんので、予めご了承ください。
<ライジング>
モッシュ・ダイブ他、他のお客様へ危害が加わるおそれがある行為は一切禁止いたします。また、同行為によって怪我・事故等がおこった場合、全て当事者同士で解決していただき、主催者は一切責任を負いません。
<ひたちなか>
ダイブ等の危険行為を固く禁止しています。危険行為を行った参加者には退場等の厳重な措置を取らせていただきますので、ご了承ください。
司会者「建前上はどこも禁止なんですよね。で、ひたちなか以外のフェスは「自己責任」を強調しています」
レジー「ひたちなかも昔は自己責任制だったんですよね」
07
モッシュ・ダイブおよびスタッフにより危険と判断される行為は禁止です。このような行為により負傷した場合、また負傷させた場合も応急処置はいたしますが、主催者・出演者・会場側はその後の責任は一切負いません。
08
モッシュ・ダイブ及び、スタッフにより危険と判断される行為は禁止です。万が一、このような禁止行為により負傷した場合、応急処置は致しますが、主催者・出演者・会場側はその後の責任は一切負いません。
09
ダイブ等の危険行為を固く禁止しています。ダイブ行為を行なった参加者には退場等の厳重な措置を取らせていただきますので、ご了承下さい。
司会者「09年から「厳重な措置」という言葉が出てきます」
レジー「自己責任だと間違いなく「やられ損」なんだよね。だから「危険行為には厳格に対処します」ってのは一応理にかなってると思うし、それで「ロックの精神が死んだ」とかっていうのはナイーブすぎるかなと思う。ただ、今回の応援行為云々はレベルの違う話だと僕は思っていて」
司会者「こういう規約です」
サイリウム、ペンライトなど発光するものの持込、使用は、演出の妨げおよび周りのお客様のご迷惑となるため禁止いたします。
過度なパフォーマンスや応援行為は、周りのお客様のご迷惑となるため禁止いたします。
レジー「「危険かも」じゃなくて「迷惑かも」だからダメなんだよね、今回のは。この違いって結構でかいと思うんですよ」
司会者「何が迷惑なんでしょうかね」
レジー「きっとそこがそんなに吟味されてないと思うんだよねえ。「サイリウムやペンライトが演出の妨げになる」ような繊細な演出なんてこのフェスではほぼないよね。そして「過度なパフォーマンスや応援行為」が何を指すのかわからない。もしこれを厳格に運用するなら混んでるステージでのサークルモッシュとかも対象になるはずなんだけど、たぶん取り締まってないでしょ」
司会者「「サイリウム、ペンライト」の並びで書かれると「ヲタ芸」的なものが対象なのかなと思ってしまいます」
レジー「一応別の規約にこういうのがあるんだけど、ほんとに場所とりまくって物振り回して危ない人たちがいたらこっちで対処できる話じゃないのかな」
会場内外において、他のお客様の迷惑になる行為を行う方、係員の指示に従わない方等は強制的に退場していただくか入場をお断りする場合があります。
司会者「うーん」
レジー「この「応援行為」に関する話って、「なんとなく理解しがたいものをとりあえず排除しておこう」っていう考え方の表れでしかないように見えちゃうんだよね。もはや「安全」「ホスピタリティ」とは関係のない「音楽の楽しみ方」にまで立ち入ってるというか。ここはもっとミュージシャン側もピリピリしていいんじゃないかなと思う。「人権侵害だ!」「このままエスカレートすると徴兵制だ!戦争だ!」と同じようなことが展開されてるというか」
司会者「ブロック指定の足音がすぐそこに!」
レジー「ヲタ芸したい若者の未来を潰す気か!」
司会者「だんだんよくわからなくなってきました」
レジー「冗談はさておき、「周囲の邪魔にならない範囲で」という前提に立った上での「音楽ジャンルに紐づく楽しみ方」ってありますよね。様々なジャンルの人が出演するフェスの良さって、そういうものをいろいろ体感できることだと思うんですよ。たとえば土曜日にたこやきレインボー見てるとき横にアイドル初めて見るみたいな感じの女子2人組がいたんですけど、その人たちがPPPHとかちょっとしたMIXとかをコアファンの動きに合わせてやろうとしてました」
司会者「美しい光景ですね」
レジー「でもああいう運用範囲が曖昧な規約が増えてくるとステージ前の光景が無味無臭になって、そういう文化のクロスオーバーみたいなことすら生まれなくなってくる可能性だってあるわけですよ。これはあくまでもただの可能性の話だしいちいち騒ぎ立てる必要もないんじゃないかってのもわかるんですけど。この規約自体もそうだし、それに関する事実誤認ベースの意見も含めて何か気持ち悪かったので自分なりにまとめてみました。あんままとまってないけど、今回はこんな感じで」
司会者「わかりました。次回はどうしますか」
レジー「うーん、ひとまず未定でお願いします」
司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」