ブログ:幹事長人事に透ける「総選挙」の時期
吉川 裕子
[東京 1日 ロイター] - 9月3日に迫る内閣改造・自民党役員人事では、菅義偉官房長官、麻生太郎財務相、甘利明経済再生相など重要閣僚の続投が濃厚となるなか、自民党幹事長人事が最大の焦点となってきた。
幹事長人事に安倍晋三首相の衆院解散・総選挙戦略が透けてみえるとの声も浮上している。
政治アナリストの伊藤惇夫氏は29日の民放テレビ番組で「実務型なら粛々と知事選・統一地方選を乗り切っていくということだろうし、サプライズ的に人気のある人、人気が出そうな人を据えるなら、そう遠くない時期に解散総選挙もやらざるを得ないと考えているとも読める」と見通した。
新聞報道によると、これまでに浮上している幹事長候補は、河村建夫・党選挙対策委員長、細田博之・幹事長代行など。額賀福志郎・元防衛庁長官や二階俊博・衆院予算委員長、小渕優子・元少子化相などの名前も挙がっている。ここにきて、甘利氏の名前も浮上してきた。
このなかでは、党内で選挙対策を担当する河村氏や幹事長経験者の細田氏が実務型の筆頭とみられ、実績と堅実な手腕が評価されている。
サプライズ人事は文字通り「サプライズ」で予測はつかないが、安倍氏自身の経験とも無関係ではなさそうだ。
小泉純一郎政権下の2003年9月、当時わずか当選3回の安倍氏が、官房副長官から党幹事長に抜擢された。3回生の幹事長誕生は異例中の異例。スター性が重視された。内閣支持率は急回復し、勢いをかって臨んだ11月の衆院選では自民・公明・保守新党の与党3党で絶対安定多数を維持したものの、民主党が大幅躍進した。支持率回復のきっかけとはなったが、安倍氏にとっては苦い経験だったかもしれない。
「安倍氏の政権運営には、小泉元首相の手法に似たところがある」(自民党中堅)ことが、注目される一因となっている。
もっとも、衆院解散・総選挙時期は、来年9月の自民党総裁選後との見方が有力で、与党幹部は「年内解散の可能性はない。大義がない」と早期解散の可能性を否定した。
石破茂幹事長の処遇をめぐる安倍・石破両氏のさや当ても、終わってみれば、自民党総裁選で再選を果たし長期政権を狙う安倍首相の基盤を強固にした。
政権基盤をさらに強固にできるかは、改造後、苦戦が伝えられる福島県知事選・沖縄県知事選を乗り越え、下振れ懸念が出てきた経済再生を果たせるか。同時に、長期安定政権だからこそ可能な痛みを伴う構造改革や歳出・歳入改革に、安全保障政策なみの「執念」で、切り込めるか──。「アベノミクス第二章」に込める首相のメッセージが、政権の成否を左右する。(here)
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