ロンドン=渡辺志帆
2014年9月2日10時23分
英国のキャメロン首相は1日、国外でテロ行為に関わった疑いのある英国民の帰国を一時的に禁じるなど新たなテロ対策の方針を下院で発表した。ただ、移動の自由など国民の基本的な権利を制限しかねない強硬措置に与野党から慎重な意見も出され、今後、超党派で議論する。
新テロ対策ではこのほか、当局のテロ容疑者監視の権限を強め、テロ容疑のある英国民のパスポートを警察が国境で没収したり、航空会社に紛争地域に出入りする搭乗客の情報を強制的に提出させたりできるようにする。
英国民がシリアやイラクへ渡り、過激派組織「イスラム国(IS)」などを支援する「ジハード戦士」になる例が増えていることを念頭にした措置だ。キャメロン首相は8月29日の会見で、英国籍のIS戦闘員は「少なくとも500人に上る」と述べ、「英国の安全がかつてなく脅かされている」として、国内のテロ警戒レベルを約3年ぶりに5段階で上から3番目の「重大」から2番目の「深刻」に引き上げていた。
一方、キャメロン首相が党首を務める保守党と連立政権を組む自民党は、「国民を無国籍にするような措置は国際法違反だ」などと慎重な構えを見せている。(ロンドン=渡辺志帆)
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朝日新聞国際報道部
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