動画や音声を誰でも簡単に配信できるようになり、YouTubeで生計を立てる「YouTuber」が現れ、ごく普通の日常を流すツイキャスが人気となっている。そんな中、コンテンツの持つ「価値」はどのように変化しているのだろうか? そして、今後どのように変化していくのだろうか? 日本テレビの土屋敏男とLINEの田端信太郎がJ-WAVE「PRIME FACTOR」にてショーンKと共に考える。まずは「そもそも『コンテンツ』とは?」について。初っ端から早くも熱いトークが展開される。
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ショーンK (番組ナビゲーター・経営コンサルタント、以下 ショーンK)
土屋敏男 (NTVプロデューサー・LIFE VIDEO社長、以下 土屋)
田端信太郎 (LINE執行役員、以下 田端)
@ J-WAVE「PRIME FACTOR」 (2014/08/30)
NTV土屋敏男 × LINE田端信太郎 vol.1 「そもそも『コンテンツ』とは?」
NTV土屋敏男 × LINE田端信太郎 vol.2 (09/03公開予定)
NTV土屋敏男 × LINE田端信太郎 vol.3 (09/04公開予定)
NTV土屋敏男 × LINE田端信太郎 vol.4 (09/05公開予定)
ショーンK:
―映画「スターウォーズ」の「帝国のマーチ」(ダースベーダーのテーマ曲)が流れる中―ここからは「コンテンツの価値」をファクタライズ。早速、ご紹介しましょう。今夜のコメンテーター、「T部長」ですよ、この曲を聴いたら。日本テレビの、そして今はLIFE VIDEOの土屋敏男さん。よろしくお願いいたします。
土屋:
こんばんは。
ショーンK:
それから、フリーマガジンブームを作りました「R25」の立ち上げにも関わられて、そして数々のメディアに携わってらっしゃいます、LINEの田端信太郎さんです。こんばんは。
田端:
こんばんは。田端です。よろしくお願いします。
土屋:
よ! 田端さん。
田端:
(笑)。土屋さん。よ!
ショーンK:
よ! 土屋さん。
土屋:
いや、はじめて会ったんですけどね。
田端:
共通の知り合いがすごく多かったですけど(笑)。
ショーンK:
多いんでしょうねえ。
今日は、土屋さん、田端さん、「コンテンツの価値」、「そもそも『コンテンツ』ってなに?」ということ、「『コンテンツの価値』ということが時代の流れの中で変わってきたよね」ということ、最後に「コンテンツはどうなっていくんだろうね?」というコンテンツの未来予想をしてみたいな、と思っています。
まず、おふたりに単刀直入にお答えいただきたいんですが、「コンテンツの価値」、今現在では、それぞれどんなふうにお感じですか? まず土屋さんは?
土屋:
「コンテンツ」という言葉は、そんなに昔からあるわけじゃなくて、ここ10年ぐらいだと思うんですよ。その前、テレビ番組は「ソフト」とか言われてて、その前は「番組」。で、「コンテンツってなんなのかな?」ということを考えると、やっぱり「ビジネス」なんですよ。ビジネスを伴なった番組とか、それがビジネスになるか・ならないかということが強く意識された時に「コンテンツ」っていう言葉が出てくる。
ショーンK:
なんとなく、この「コンテンツ」っていう言葉、語感にはカネの臭いがするってことですね?なんとなく。
土屋:
そうそうそうそうそうそう。そういうふうにしないと、言葉の定義がうやむやになるんですよ。
ショーンK:
土屋さんは、もう皆さんご存知の方が多いと思うんですが、今「ダースベーダー」のBGが流れましたけど、「進め!電波少年」、私も観てましたよ。「T部長」として出演をされていらっしゃいました。
土屋:
出演もしてましたけど、基本的には演出をしてたんですけど(笑)。やむなく出てたんです。
ショーンK:
それも含めてプロデュースした節がありますけどね(笑)。その他、「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」、「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」、汐留のイベント、実に様々な番組、「ソフト」を開発していらっしゃった、というご紹介で良いでしょうか?
土屋:
結果としては「コンテンツ」でしょうね。「テレビ」というビジネスモデルの中で番組を作ってきたんだから。
ショーンK:
そうすると、土屋さんの思う「コンテンツの価値」というのはカネ・・・。
土屋:
議論のベースとして、「番組が面白い」とか、そういう言い方をすると。でも、「コンテンツ」というのは、基本的にビジネスモデルをベースにしてして、これがビジネスになるか・ならないのかということが含まれたものですよ、ということにしないと、たぶんぐちゃぐちゃになるんですよ。
ショーンK:
なるほど。「コンテンツ」といったらちゃんと文脈があって、そこでは「ビジネスモデルをみんなで作ろうね」という議論の中で「コンテンツ」という言葉が存在していると。
土屋:
だから、「コンテンツは面白いべきか・面白くないべきか」みたいな、要するに「ビジネスをバックボーンに持ったソフト」ということだと思うんですよね。
ショーンK:
なるほど。田端さんはどうですか?
田端:
僕が最初に区別したいのは「コンテンツ」と「コミュニケーション」というのが分かれていると思うんですよ。もちろんテレビには両方含まれているんです。
例えば「月9」でも「電波少年」でも、観てた視聴者の大半は、それが単独で面白いというよりは、それを知っておいて翌朝例えば学校とか職場とかで話題になる。その時の話のネタになるから、というようなコミュニケーションがメインで、そのための参考資料、予備知識として観ておかないといけない、というような感じです。もしかしたらジャイアンツ戦もそうかもしれない。サラリーマンとしてジャイアンツ戦を観ておかなければいけないとか。だんだんそうじゃなくなったかもしれないですけども。
だから、もしかしたらほんとのメインディッシュはコミュニケーションなんですよ、たぶん今の世の中は。で、コンテンツは「アナ雪」でもなんでも、それを知っておかないと、「オマエ、そんなことも知らないの?」と言われるということです。
土屋:
いや、だけど、その「コンテンツ」というものは議論の場としてはやっぱり「ビジネス」というものになっているか・なってないか、ということはたぶんあると思う。
で、コミュニケーションの話で言うと、「放送」と「通信」って言われる話が、ライブドアの堀江さんがフジテレビをなんとかかんとかみたいなこと以来かその前後からあったんだけど、「放送」っていうのは「みんなのために」ということがあるわけですよ。
で、「通信」は「あなたと」なんですよね。「あなたと」が基本で、それがもうちょっと広がってきて「あなたたち」になって、それから「あなたたちのような人たち」ということが「通信」の基本なんですよ。「放送」はずっと「みんな」なんですよね。「放送」と「通信」はそういうところがやっぱり違うと思うんですよ。
ショーンK:
でも、田端さん、「放送」と「通信」が分けられた線があったとしたら、今どんどんお互いに組み込まれていく、と言うか・・・
田端:
と言うか、「通信」が「放送」を飲み込んでますよね。うちの5歳の息子はYouTubeとテレビを区別していないですから。
ショーンK:
そうなんですよね、そうなんですよね。
土屋:
それは飲み込みつつあるということだと思うんですよ。「テレビはなんでYouTubeみたいに一旦停止できないんだ?」と。
ショーンK:
だから、もしかすると私たちが「放送と通信」と言っていること自体が古くて、あと数十年後には、テレビのリモコンで地上波に行こうがネットに行こうがボタンは隣に付いていて、それを押している人に関してはどこに繋がろうが構わないということかもしれないですね。
土屋:
だから「配信路」なんですよね。「放送波」という配信路なのか、「ネット」という通信なのかという部分。あとは「クリエイティブはどこがやってるの?」ということ。だから、放送局・テレビ局がやっているから、そこはまたごっちゃにされるわけですよ。
テレビ局は今まで放送波をメインにしたけど、今は通信も含めて、例えば「オンデマンド」であるとか、うちであれば「フルネット」であるとか、というところを通じてテレビを出すということは来る。プロダクション「日本テレビ」がやって、そういうことに移行しつつある。
だから、「放送と通信」という対立軸はもうかなり古くなっていて、「放送」も「通信」をやるし、「通信」が「放送」を使うのは・・・まあCMぐらいですかね(笑)。
田端:
(笑)。広告主として。最近、ネット企業が一大スポンサーになってますね。それはまた面白さもあって。
ショーンK:
そうですね。でも、今日は良かった。冒頭で土屋さんが「僕、無口ですから」と仰ってて。全然心配無いですね。
土屋:
(笑)。いや、ここから無口になりますから。「あれ、いるのかな?」ぐらいに。
ショーンK:
いやいやいや。もっともっと喋ってもらいます。このあと、更に掘り下げます。
NTV土屋敏男 × LINE田端信太郎 vol.1 「そもそも『コンテンツ』とは?」
NTV土屋敏男 × LINE田端信太郎 vol.2 (09/03公開予定)
NTV土屋敏男 × LINE田端信太郎 vol.3 (09/04公開予定)
NTV土屋敏男 × LINE田端信太郎 vol.4 (09/05公開予定)
田端さんがおっしゃる「コミュニケーションのためのコンテンツ」という見方は興味深いです。換言すると「アウトプットのためのインプット」ということでしょうか。この後のおふたりの白熱トークにも繋がる、とても重要な考え方です。残りの部分は、明日以降、順次公開していきます。(編集長)