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【女性管理職の本棚】JALを再生!京セラ・稲盛和夫氏の提唱する「アメーバ経営」現場レポート

 2010年1月から、事実上経営破たんした日本航空(JAL)の管財人代理、そして副社長として2年間、稲盛和夫氏と共に経営に携わり、実質的に再生の舵を取った森田直行氏の著書『全員で稼ぐ組織』(日経BP社)。

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  まず、これは経営の本なので、実際に経営の権限のある人が読まないと本来は意味がないのかもしれません。しかし、導入の提案が出来る部分もあるだろう し、会社の経営上の弱点が見えれば中間管理職としての動き方の指針にもなるだろうとは思います。森田氏は稲盛氏の提唱する「アメーバ経営」を使って、グ ループ以外の会社にコンサルタントをしている会社の代表でもあります。JALを筆頭に、そういった「実際に業種の違う現場で導入した事例」を紹介しなが ら、全員で稼ぐためのヒントをちりばめています。そんな中から、経営者じゃなくても、現場の声として提案できそうなポイントを2つ紹介してみたいと思いま す。

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■どこで利益が生まれているかを意識することで、責任感を育てる

 「アメーバ経営」という言葉の語源にもなっていますが、10人以下の小さな独立採算組織を「アメーバ」(会社の規模によって、部署であったり部門であったり、その下のチームであったりする)と呼び、その中での利益率アップと、役割・責任を明確にすることが基本。例えば社内であっても「アメーバ」間で品物が移動すると「社内売買」が成立するとみなします。製造部門から営業部門が商品を仕入れた、という計算をし、製造部門はそれが売上に、営業部門は実際に販売した分の手数料から利益を得ることになります。直接利益は生み出さないけれど、協力している部門には協力料を支払い、経理部門など直接利益を生み出さない部門の経費は各「アメーバ」に割り当てられる。収入と支出に責任を持ち、そこから自分の給料が出ていると明確にして、それぞれの「アメーバ」内で利益率をあげるために出来ることをする。それが役割と責任になるという仕組みです。

■「時間当たり付加価値」という指標で、一人ひとりのモチベーションをあげる
 小さな組織で人件費をオープンにすると、個人の人件費がお互いに分かってしまうので、収支を「アメーバ」のメンバー全員で働いた時間=総労働時間で割って、「時間当たり付加価値」を指標にします。これが増えれば増えるだけ、当然利益も上がっているということ。自分の働きがダイレクトに数字で見えるので、一人ひとりが時間当たりの生産性をあげることに努力しやすくなるということです。


 実際にこれらを導入するには、経費と利益が分かりやすくタイムリーに把握できていることが条件となり、また、経営者が協力してくれないと導入は難しいかもしれません。ただ、中間管理職としては、上からの要望と下からの要望に日々挟まれて、どうやってお互いに納得の行く着地点を見出すかということに心を砕いている日々。結局のところ、全員で稼げれば問題ないわけです!基本的に経営者は利益を上げたいはずなので、興味を示すのではないでしょうか。

 難しそうだったら、自分の部署内だけでも、得られる数字でこういったことをヒントに自分なりに分析してみると、部署の成績をあげるのに役立つのではないかと思います。また、こういうやり方があると知っておくだけで、経営層との話を深めることができそうですね。

参考書籍:「全員で稼ぐ組織 JALを再生させた『アメーバ経営』の教科書」森田直行/日経BP社

文:明灯尋世

 とある中小企業で日々、上下に挟まれて突破口を探すアラフォー女局長。知識は、行動に移してこそ身につく。組織の中でも自由であれ。家族は姑、夫、犬一匹。