ロシア:天然ガス 中国への供給パイプライン起工式

毎日新聞 2014年09月01日 20時27分

 【モスクワ田中洋之】ロシア東シベリアの天然ガスを極東経由で中国に供給するパイプライン「シベリアの力」の起工式が1日、サハ共和国の首都ヤクーツクであった。式典にはプーチン大統領が出席。ウクライナ危機で欧州がエネルギー資源のロシア依存脱却を進める中、ロシアとしてガス輸出先の「東方シフト」を推進する姿勢を鮮明にした。

 プーチン氏は式典で「世界最大の建設プロジェクトは、ハイレベルな中露関係のおかげで可能になった」とあいさつ。中国からは張高麗副首相が参加した。

 「シベリアの力」はチャヤンダ(サハ共和国)、コビクタ(イルクーツク州)で産出するガスを極東に運ぶもので、総延長は3968キロに及ぶ。総工費は7700億ルーブル(約2兆1400億円)。ロシア国営ガス企業ガスプロムによると、ヤクーツクから国境のブラゴベシチェンスクまでの区間を2018年末までに完成させ、翌19年から中国へガス輸出を開始する。

 ロシア産ガスの対中輸出は価格交渉が長年難航していたが、今年5月にプーチン氏が訪中した際、年380億立方メートルのガスを30年間にわたって供給する総額4000億ドルの大型契約で合意した。ウクライナ危機で欧米などの制裁を受けるロシアが、対中輸出に活路を見いだすため決着を急いだとされる。

 「シベリアの力」は将来ハバロフスクまで延伸し、サハリン産ガスを極東に運ぶ既存パイプラインと接続する。プーチン政権が掲げる極東・シベリアの発展につなげるほか、ウラジオストクでLNG(液化天然ガス)化してアジア太平洋諸国に輸出する計画だ。

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