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<損保ジャパン日本興亜>克服課題に経営効率化 合併・発足

毎日新聞 9月1日(月)20時53分配信

 業界2位の損害保険ジャパンと5位の日本興亜損害保険が1日合併し、損害保険ジャパン日本興亜が発足した。経営規模を示す正味収入保険料(売上高に相当)では業界首位に立ったものの、最終利益では3位にとどまり、経営効率化の遅れなど克服すべき課題は多い。成長余地が大きい海外事業などの強化もこれからだ。

【二宮社長に聞く新会社の戦略】

 「損保を軸にしながらサービス産業への進化を目指す」。新たに名称変更した持ち株会社、損保ジャパン日本興亜ホールディングス(HD)の桜田謙悟社長は1日、東京・新宿の本社で開いた式典で新規事業や海外事業を強化する考えを強調した。

 損保業界は、少子高齢化や若者の自動車離れなどで、保険料収入の約6割を占める自動車保険(自賠責を含む)市場が縮小。大手各社は海外事業や生命保険の強化で利益の確保を図ってきた。

 損保ジャパン日本興亜は2013年度の正味収入保険料が合併前の2社合算で2兆821億円で、不動の首位だった東京海上日動火災を上回る。しかし、海外や生命保険など新規事業の収益貢献ではライバルに出遅れているのが実情だ。

 例えば、海外事業では東京海上HDが13年度に1173億円の利益を上げたのに対し損保ジャパン日本興亜HDは115億円、生保事業ではMS&ADインシュアランスグループHDの246億円に対し82億円と大きく引き離されている。桜田社長は記者団に、先進国や新興国でM&A(企業の合併・買収)の機会をうかがう考えを表明し、生保事業も「1年程度で戦略を策定する」と語った。

 水ぶくれしたコストの削減も課題だ。13年度の最終利益は441億円で、利益率はライバル2社を大幅に下回っている。合併を決めた12年以降、重複拠点や役職整理を進めたが、システム統合など合併に伴う費用が膨らみ、効率化が遅れた感は否めない。単体の社員数は15年度までに、希望退職などで12年度より4800人(15.6%)減らす計画で、16年度以降も「適正規模を追求する」という。

 1日には、運送業者など向けに運転手の走行データを分析して安全運転に役立てるサービスを発表。8月には綜合警備保障と提携し、介護関連の新サービスを検討しているが、新規事業の展開は始まったばかり。

 ライバルも静観の構えだ。東京海上日動の幹部は「収益力が備わらなければ意味がない」と話す。傘下の2損保の独立路線を維持し「機能別再編」を進めるMS&AD幹部も「合併にコストをかけるより各社の強みを生かすべきだ」(幹部)と路線の違いを訴え、新会社の動向を見守る姿勢だ。【朝日弘行】

 ◇損害保険ジャパン日本興亜

 安田火災海上、日産火災海上が2002年に合併して発足した損害保険ジャパン(後に大成火災海上を合併)と、日本火災海上、興亜火災海上が01年に合併して発足した日本興亜損害保険(後に太陽火災海上を合併)が10年に経営統合し、持ち株会社NKSJホールディングス(HD)を設立。同傘下で別法人だった損保ジャパンと日本興亜の2社が1日付で合併し「損害保険ジャパン日本興亜」が発足した。持ち株会社の名称も損保ジャパン日本興亜HDに変更した。新会社の社員数は今年3月末時点の単純合算で2万7352人。社長には日本興亜の二宮雅也社長、会長には損保ジャパンの桜田謙悟社長が就任。持ち株会社は引き続き桜田氏が社長、二宮氏が会長を務める。

最終更新:9月1日(月)23時16分

毎日新聞

 

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