「東方礼儀の国」で墓の手入れ代行めぐり賛否

秋夕を前に代行業者が書き入れ時
全国約500の代行業者に1日30件の予約電話

「東方礼儀の国」で墓の手入れ代行めぐり賛否

 「忙しくて、草刈りをしている時間がない。代わりに草刈りをしてくれませんか」

 ソウル市内の中小企業に勤務する男性(49)は、秋夕(チュソク=中秋節、今年は9月8日)が近付く中、急きょ「草刈り代行業者」を探した。男性は「昨年までは親戚の誰かが自ら草刈りを行っていたが、今年からは管理する人がいなくなった。先祖の墓を放置する不孝者になるわけにいかないため、代行業者を探した」と話した。男性からの電話を受け、忠清南道公州市にある6カ所の墓に、草刈り専門業者3人が向かった。業者は2日間かけて雑草をきれいに刈り取り、その「証拠写真」を男性の携帯電話に送った。草刈りを行う前と後の様子を比較する写真だ。

 オフィスで携帯電話に送られた写真を見た男性は「昨年には3日間かけて自ら草刈りをし、とても苦労したが、業者に頼んだところ、雑草だけでなく木も伐採してくれたので満足している。最初思ったよりも罪悪感を感じなかった。こんな形ででも草刈りができたのはよかった」と語った。

 秋夕を2週間後に控え、草刈り代行業者が書き入れ時を迎えている。「忙しい息子に代わって、先祖の墓を手入れしてほしい」「今年は草刈りに行けないと思うから、代わりにお願いしたい」といった以来の電話がひっきりなしにかかってくる。韓国国内で営業している草刈り代行業者は500ほどある。業者は「自分の亡き父の墓だと思って草刈りをする」という宣伝文句を掲げ、忙しい依頼者に代わって墓の手入れをしている。

 費用は墓の面積10坪(約33平方メートル)につき6万-8万ウォン(約6100-8200円)程度だ。代行業者に電話で予約し、予約金を振り込めば、草刈り機など専用の装備を備えたスタッフ2人が現場に向かうのが一般的だ。家族が同行する必要もない。ある代行業者は「住所さえ知らせてくれれば、あとはこちらで調べて現場に向かう。墓の場所が見つからない場合は、1回目だけ同行してくれればよい」と話した。墓の場所が見つからない場合、周辺の景色の写真を送ってもらい、その場所が依頼者の先祖の墓かどうか確認することもある。

 草刈り代行業者は十数年前に登場したが、ここ3年の間に予約電話が急激に増えた、と業者は説明する。ある業者は「10年前には、秋夕の前に1日2-3件の予約があったが、ここ3年間は予約電話が1日に30本もかかってくる」と話した。3年連続で草刈り代行業者を利用している自営業者の男性(61)は「100万ウォン(約10万円)近くかかる草刈りの費用は、親戚十数人が出し合っている。結構な金額だが、先祖の墓をきちんと手入れできなければ不孝者呼ばわりされるから、とても助かっている」と語った。

 代行業者を通じて草刈りを行うことを残念がる声も出ている。兄弟や親戚が集まって助け合いながら先祖を偲ぶ機会が次第になくなっていくというわけだ。3兄弟の長男で、20年にわたって自ら草刈りを行ってきたイ・ソンヒさん(55)は「草刈りは一種の儀式のようなもので、先祖に会いに行くという意味がある。業者に依頼するというのは想像もできない」と話した。大邱市に住むイさんはいつも、知人から草刈り機や鎌を借りて、慶尚北道慶山市と金泉市にある先祖の墓の草刈りを行っている。イさんは「大変だったという思いよりも、秋夕でなければいつ先祖に会いに行けるのか、という思いの方が強い」と話した。

 全羅南道海南郡にある先祖の墓を見守っている男性(52)は「草刈りが大変だからといって、代行業者に依頼する息子たちをしかりつけた。(先祖の墓の)草刈りという伝統がなくなっていくようで残念に思う」と話した。

イ・スルビ記者
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