指摘の通り、SNSのプロフィルは現状、年齢確認に身分証などを使う出会い系と違い、自己申告。いくらゾーニング対策で児童と大人を遮断したとしても、悪意ある人間が中高生の年齢を入力すれば、ゾーニングは無用の長物と化す。青少年の健全な育成をはばむ有害サイトへのアクセスを遮断する「携帯電話フィルタリング」の効果も、はかばかしくない。
携帯フィルタリングは、09年4月施行の青少年インターネット環境整備法で、18歳未満が携帯電話を利用する場合は原則適用となった。が、大手3社はモバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)が認定する「健全サイト」。フィルタリングの対象外のため、フィルタリング加入者であっても自由に出入りできる。
ただし大手3社は、フィルタリングの加入者からアクセスがあった場合、自己申告の年齢が18歳以上でもゾーニングの対象として切り分ける対策をとっている。ところが、携帯フィルタリング自体、普及が進んでいない。
原則適用といっても罰則はなく、加入するか否かは保護者の判断に委ねられているのが実情だ。10年上半期に検挙した犯罪の調査結果によると、被害児童の99.5%はフィルタリングに未加入であり、これら被害児童をフィルタリングによる強制ゾーニングは救えなかったということになる。
増え続ける18歳未満の利用者
警察庁はこうした調査結果を今年10月末に公表した。そのなかには、「EMA認定サイトに起因する被害発生状況」というデータもある。10年上半期に検挙した非出会い系サイトに起因する児童被害の犯罪、730件のうち、50.3%がEMAの認定する健全サイトで起きていたという、皮肉な結果を示す。
健全と謳いながら、実態はそうではない――。そんなメッセージを発信する警察は、SNSに対する圧力を強めているかのように見える。
SNSにとっては、児童被害の温床と報じられ、「出会い」のイメージがつきまとうという憂慮すべき事態。確かなのは、児童がいなければ、犯罪は確実に減るということ。しかし18歳未満といえども、SNSにとってはサイトを支える大事な「お客さま」。出会い系サイトのようにサイトから児童を閉め出すことは、できない。ここに、SNSが抱えるジレンマがある。
DeNA、グリーともに18歳未満のユーザー比率は下がっているものの、母数が肥大化している分、実数も膨らんでいる。モバゲーが会員数1000万人を達成した08年4月、18歳未満の割合は26%で269万人いた。10年9月時点でその比率は15%まで下がっているが、実数は324万人と55万人増えている。
GREEも1000万人を突破した09年4月時点で18%だった未成年の比率は10年9月時点で14%まで減ったが、実数は130万人以上も増えて314万人となった。もともと18歳未満の利用を禁じていたmixiも、08年12月から年齢制限を18歳以上から15歳以上へと引き下げた結果、18歳未満は10年9月時点で84万人まで急増している。
「売り上げの遺失も含めれば、何十億円ではきかない」
18歳未満のユーザーはSNSの将来のためにも重要。自らの事業で被害者を出してしまうのは忍びないが、18歳未満を切り捨てるわけにもいかない。だから、犯罪者とのいたちごっこが続こうが、各社は徹底的に対策を講じるしかない。ただ、それができている自負があるSNSは、別のジレンマも抱きつつある。DeNAの南場智子社長は、こう語る。
「私たちはとにかく健全性を維持して、青少年を守るということを徹底的にやっている。SNSまで出会い系にされて、全部免許証やら住民票やらを確認しないと使えないという、世界で日本だけがとんでもない状態になるのを避けるためにも、経費を年間7億円くらいかけて、やっているわけですよね。業界を救いたい、ユーザーを救いたいという気持ちで。売り上げの遺失も含めれば、何十億円ではきかないかもしれない」
そして、「我々から件数は言えないんですけれど、この前、社員が警察から説明を受けたとき、当社は『月間のアクセス数が急増しているにもかかわらず、DeNAさんはよくやっていますね』と、努力を認めていただいた」と続け、奥歯に衣を着せる。
一方、ミクシィの幹部も、こう吐露する。「報道に偏りがあるかなと思う。明らかにミクシィの被害が増えている見せ方をされて、イメージダウンやユーザーに対する悪影響を懸念している。非出会い系サイトを一くくりにするのが、本当に正しい見せ方なのか……」。両社の矛先は、残りの1社に向かう。
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