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SNSを悩ます「出会い系」問題の深淵
非出会い系の被害児童数は最悪水準へ

(3/6ページ)
2010/12/8 7:00
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 「大人が検索をかければ、簡単に児童と連絡が取れてしまうことが問題。街中で子どもに片っ端から声をかけていたら明らかに怪しい。けれど、SNSなどでは誰にも知られずにそれができてしまっていた。被害児童側も、たとえば釣りゲームをしているつもりが、釣られているとは思ってもみない。そこに危険性がある」

容疑者は「検索をかけて、児童と連絡が取れる」サイトを狙う(警察庁調べ)
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容疑者は「検索をかけて、児童と連絡が取れる」サイトを狙う(警察庁調べ)

 ネット上の犯罪に目を光らせる警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課の米田茂雄理事官は、こう指摘する。ゲームなど趣味のコミュニティーをつぶさに巡回して18歳未満の児童を探し出しては、親切なふりなどをして近づき、ミニメールで巧みに外の世界へと誘い出す。SNSは「出会い」と銘打っていないだけに児童の警戒心も弱く、だまされてしまうケースが多いという。

 出会い系サイトの健全化が進み、逆に健全であるはずの非出会い系サイトが性犯罪の温床となりつつある――。そうした状況に、警察のいら立ちは募るばかりだ。出会い系サイト規制法の対象か否かを最終的に判断するのは裁判所だが、立件するか否かを決めるのは警察。その権限を懐にちらつかせながら、警察はSNS各社に対策を迫ってきた。

 むろん、SNS各社も犯罪は微塵(みじん)にも望んでいない。青少年が安全に安心して利用できるよう、あらゆる対策を講じてきた。

「ゾーニング」「パトロール」の草分け、DeNA

 何より、規制の対象となっては死活問題に発展しかねない。未成年ユーザーのすべてを失うのはもちろん、膨大な年齢確認の作業を強いられることになる。それも避けたい各社は、児童、成年を問わず、出会いを求める行為の「摘発」に肝胆を砕いてきた。特に、モバゲーのDeNAは、早期から出会い行為の取り締まりに力を入れている。

DeNAは合計400人体制で目視による投稿のチェックを行っている(写真は東京の監視センター)
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DeNAは合計400人体制で目視による投稿のチェックを行っている(写真は東京の監視センター)

 モバゲーは、出会いを誘うような文言の投稿はもちろん、サイトで知り合った者同士がサイト外で会うことや、ミニメールで個人情報を交換することも規約で禁止している。さらに、プロフィル、日記、掲示板、そしてミニメールと、1日あたり1000万以上もの全投稿から、出会いを誘う文言や個人情報など規約違反が疑われる投稿を抽出するシステムで監視。電話番号やメールアドレスなど明らかに規約に違反している投稿は、自動的にブロックしている。

 加えて、サイト内を監視するパトロール部隊が24時間体制でフォロー。08年4月には、東京に加えて新潟に新たな監視センターを設け、合計400人体制とした。スタッフは巡回や通報、監視システムで集めたグレーな投稿を目視でチェックし、異性との出会い目的の行為だと判断すれば削除したうえで、警告なり強制退会なりの処分をくだすという地道な作業を続けている。

 出会いの摘発と同時に、児童と大人の「分離」も進めた。07年12月から、18歳未満がミニメールを送受信できる範囲と、プロフィルなどから友達検索をしたり、されたりする範囲を「本人の年齢前後2歳まで」と制限した。例えば20歳以上が17歳にミニメールを送信したり、検索で見つけたりすることはできない。いわゆる「ゾーニング」の走りである。

被害児童の99%は携帯フィルタリングに未加入

 これに、ミクシィとグリーの2社も追随。サイト内のパトロール体制を順次、強化し、出会い目的の行為の一掃を進めている。18歳未満と成年のコミュニケーションや検索を遮断するゾーニングも、ミクシィは08年12月から、グリーは09年8月から実施しており、それぞれ一定の成果を上げているとする。

 だが、警察は「対策が十分ではない」とし、今年に入ってからも監視体制の拡充やゾーニングの強化など自主的な取り組みを強化するようSNS各社に要請し続けている。前出の警察庁の米田理事官は、こう指摘する。

 「被疑者の半分くらいはプロフィルを詐称し、ゾーニングを乗り越えるなどして児童に近づいている。被害児童の方も、約3分の2は親名義の携帯電話を利用しており、99%は携帯フィルタリングに加入していない。18歳未満かどうかを機械的に判別するのが難しい状況にある」

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