総務省などが入居する東京・霞が関の中央合同庁舎第2号館。今年8月31日、ここに通信事業者やネット企業など10社以上が呼ばれた。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルなど携帯電話5社に加え、ディー・エヌ・エー(DeNA)、グリー、ミクシィといった大手SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の顔も並ぶ。
だが、一行が向かった先は、通信を司る総務省ではなく、全国の警察を指揮監督する警察庁。出迎えたのは情報技術犯罪対策課の面々だ。「今年上半期の状況について説明を差し上げたい」。配布された資料は、そこに呼ばれた誰もが耳の痛い事実を突きつけていた。
国内でそれぞれ2000万人以上もの会員を集めたSNS大手3社。なかでもDeNAの「モバゲータウン」と、グリーの「GREE」は、莫大な課金収入が見込めるソーシャルゲームを武器に破格の成長を遂げている。潤沢な資金を手に海外企業のM&A(企業の合併・買収)も手がけ始め、停滞する日本経済の星として一躍、脚光を浴びている。ところが警察の見る目は、少々違う。
高校生になりすまし「コインをあげるよ」と近づく
今年6月、岡山県津山市の元市立中学校教諭(49)に懲役3年、執行猶予4年の刑が言い渡された。罪状は児童買春・児童ポルノ禁止法違反や岡山県青少年健全育成条例違反、脅迫などで、被害者は岡山、兵庫、岩手県内に住む13~16歳の女子中高校生4人。その舞台は、携帯電話向けのSNSだった。
手口はこうだ。卒業アルバムにある男子生徒の写真をSNSのプロフィルに貼り付け、年齢を詐称して高校生になりすます。ソーシャルゲームなどを通じて女子中高生に近づき、ゲームで使用できる「コイン(仮想通貨)をあげる」といった甘言で釣って、見返りに裸の写真を送らせる。
加えて、ある女子中学生には「写真や名前をネットでばらまくよ」と脅し、待ち合わせの約束を取り付けた。元教諭は男子生徒の父親を装って「息子はホテルで休んでいる」と偽り、ホテルの部屋に連れ込んで、さらにわいせつな写真を撮った。似たような手口を繰り返していた元教諭の携帯電話には、女子中高生数十人分のわいせつな写真が残っていたという。
こうした事件の急増に、警察は神経をとがらせている。今年8月には、2010年上半期に起きた全国の児童被害の事件をまとめ、公表。新聞各紙は一斉に「非出会い系サイト 被害児童急増」「児童被害の事件 交流サイト増 出会い系減」といった見出しを付けて報じた。
SNS御一行を呼んだ「説明会」が開催されたのは、その数週間後。やり玉にあげられた「非出会い系サイト」とはつまり、モバゲー、GREE、mixiといったSNSや、楽天の「前略プロフィール」といった自己紹介サイトなどを指す。
出会い系サイトの被害児童数は141人、非出会い系サイトは601人
警察庁によると、10年上半期、出会い系サイトに関係した事件の検挙件数は、前年同期比16.5%減の538件、被害児童数は同46.8%減の141人と減少の傾向にある。一方、非出会い系サイトに関係した検挙件数は、同15.7%増の730件、被害児童数は同10.3%増の601人と増加傾向で、実数でも出会い系サイトを上回っている。
事件の大半は18歳未満の児童を対象とした性犯罪。非出会い系サイトを通じて被害に遭った601人のうちでは、18歳未満との淫行・わいせつ行為などを禁じる青少年保護育成条例違反の被害が378人ともっとも多く、次いで児童買春が107人、児童ポルノが83人と続く。なかには強盗や放火、誘拐といった重要犯罪の被害も混じる。こうした犯罪の温床として、大手SNSは出会い系サイトと同列に語られる存在となってしまった。
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