韓国国務調整室の秋慶鎬(チュ・ギョンホ)室長は先月31日、ソウルの政府庁舎で「犯罪収益隠匿の規制および処罰法」が制定されなければ、旅客船セウォル号沈没事故の収拾・補償に用いる国民の税金がさらに増えると述べた。同法は、セウォル号の運航会社、清海鎮海運の実質的なオーナーで、指名手配中に変死体で見つかった兪炳彦(ユ・ビョンオン)氏の名前を取り「兪炳彦法」とも呼ばれる。
秋室長は「セウォル号沈没事故の収拾と人命・財産被害の補償のための費用の大半は、加害者である清海鎮海運と兪氏の家族が責任を持って払うべきだというのが政府の基本的な立場だが、現行制度のままでは、兪氏らが財産を第三者名義で隠している場合、相応の責任を問うことができない」と説明した。
現行法は、犯罪者から財産の相続や贈与を受けた人が「犯罪によって生じた財産」であることを知っていた場合に限り、これを差し押さえることができる。だが「兪炳彦法」が制定されれば、知らずに相続していた場合でも押収できるようになる。
国務調整室によると、セウォル号沈没事故の収拾・補償にかかる費用は6000億ウォン(約616億円)ほどと見込まれているが、現在、兪氏の家族や清海鎮海運などの仮差し押さえ対象の財産は1219億ウォン(約125億円)程度にとどまる。国務調整室は「兪氏の家族らが第三者名義で隠匿した財産を探し出し、差し押さえることができなければ、事故収拾費用の6000億ウォンのうち5000億ウォン(約513億円)ほどは国民の税金を使わざるを得ない」としている。