校舎の姿形もないころから、中学生を対象に短期間のサマースクールを5年にわたり運営。その間、独自色のあるカリキュラムを練りに練った。例えば、身の回りのテーマを題材に、課題を挙げさせその解決策を導き出す実践的なトレーニング。そして、カフェテリアやパソコン室、寮の運営を生徒に委ね、自分たちが納得できるルールを話し合いながらつくっていく手法など。いずれも「後天的にリーダーになる」ためのスキルを養うことを突き詰め、編み出したものだ。
■調整型リーダー育成めざす
サマースクールの実施と並行して、理念に賛同する教員を世界中にリクルーティングして回った。「遠回りではあったが、口コミが口コミを呼んで優秀な生徒が集まった」(小林代表理事)ことが現在につながっているという。
ISAKの授業はすべて英語。世界各国の大学への入学資格として認められる国際バカロレア(IB)が取得できるプログラムの認定も来年にも受ける見込みだ。しかし、「リーダー像」として想定するのは欧米のおはこであるトップダウン型やカリスマ的なリーダーではない。志向するのは「調整型のリーダー」だという。小林代表理事は言う。「世界の人口や国内総生産(GDP)の2分の1がアジアに集中する時代が到来するなか、アジアならではのリーダーシップがあっていい」。一般的なインターナショナルスクールとは異なり、貧困層や中流層にも門戸を開いたのはそのためだ。
25日から始まった高校のカリキュラムでは、リーダー育成のための授業が週4コマほどある。リーダーとしての自立心を養う心構えを教えるだけではなく、米スタンフォード大学発祥で世界の教育現場が注目する問題解決の実践的な手法「デザイン思考」も授業に取り入れた。
1年間の学費は寮費含めて350万円と安くはないが、1期生のうち奨学金の給付を受ける生徒は56%。国籍や出身家庭、宗教なども多様な人々との共同生活でときにはぶつかり合いながらも、調整していくすべを身につけてもらうことを狙っている。
日本では異色ずくめの新しい学舎(まなびや)。コンビニエンスストアも近くにない一種の隔離された空間で、少人数制を貫き、いわゆる受験勉強とは一線を画す。あまりにも革新的なコンセプトへの賛否両論があることも確かだ。しかし、まだ考え方も柔軟な10代半ばから「アウェー」な環境に身を置くことで刻まれる価値は確実にあるはず。グローバル人材の必要性が叫ばれるなか、「鉄は熱いうちに打て」を地で行くような日本発の挑戦を見守りたい。(映像報道部 杉本晶子)
ISAK、インターナショナルスクール
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