生まれながらにしてリーダーである人はいない。スキルを磨くことでリーダーになるのだ――。こうした理念のもと、次世代のリーダーを志す15~16歳の少年少女が世界中から集う高校が誕生した。校名に「アジア」を冠した「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)」は、日本で初めての全寮制インターナショナルスクールだ。日本にも世界にもない全く新しい学校を目指す同校の向かう先とは。
■世界中から集まった1期生49人
8月24日。長野県軽井沢駅から約10キロ離れた小高い新興別荘地の一角に、ISAKは開校した。最大の特徴は全寮制で、教員もキャンパス内で暮らしをともにするという点。寮は、校舎からゆるやかな坂を上って1分足らずの位置にある。
高校1年生として入学した1期生は49人。パスポートがなかなか入手できず、前日にぎりぎり入国したというソマリア出身の生徒はほっとした表情を浮かべていた。生徒は日本を含め世界15カ国・地域から集まった。肌の色も様々だ。
「いずれ母国に戻ってものづくりの分野で起業したい。貧困をなくすことに貢献するのが夢」(フィリピン出身の男子生徒)、「法律家になり、東南アジアで活躍したい」(マレーシア出身の女子生徒)――。自らの夢へのステップとしてISAKを選んだ人もいれば、人生を変えるためにあえて異空間に飛び込んだ人もいる。
「母国では恵まれた環境にいた。ぬるま湯のなかは楽だったが、自分の成長にも限界があると思った。異国でチャレンジすることで、人生を大きく変えたい」(タイ出身の男子生徒)、「帰国子女でもないし親元を離れるのも初めて。人種や国籍などの多様性を学び、いろいろな国の事情を理解できるようになりたい」(奈良県出身の女子生徒)――。あどけなさを残しながらも、いずれも自らの意志で親元を離れてこの学校を選んだ生徒ばかりだ。
ISAKが前面に押し出している目標は「変革を起こせるリーダーを育てること」。全くの新設校にもかかわらず、1期生の応募倍率は約4.7倍にのぼった。なぜ人気が広がったのだろうか。
そもそもISAK構想は、外資系投資銀行などを経て国連児童基金(ユニセフ)フィリピン事務所に勤務していた小林りん氏が2007年から温め始めた。フィリピンでストリートチルドレンの教育に携わっていたころ、識字率が上がっても貧困層が増えていく様子を見て限界に直面。「社会に変革を起こせるリーダーを育てなければ、根本的な解決にならない」と実感したことが学校をつくりたいという動機につながった。
構想から7年かかって開校にこぎ着けたものの、リーマン・ショックのあおりで資金調達が頓挫しかけたこともあったそうだ。学校法人ISAKの代表理事を務める小林氏は「長く険しい道のりだった」と振り返る。しかし、助走期間が長かったことが幸いした面もあった。
ISAK、インターナショナルスクール
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