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01 Sep 2014 08:56

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アイドルが運営に恋をしてしまったら…? 姫乃たまがPIP総合プロデューサー濱野智史に問う

リアルサウンド 8月30日(土)17時43分配信

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アイドルが運営に恋をしてしまったら…? 姫乃たまがPIP総合プロデューサー濱野智史に問う

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アイドルが運営に恋をしてしまったら…? 姫乃たまがPIP総合プロデューサー濱野智史に問う
地下アイドルとして活動を続ける姫乃たま。

 濱野智史さんは、近年のアイドルブームを終わらせます。少なくとも私はそう思っています。

 夏のはじめ頃、濱野さんが「誰でもアイドルになれる」をコンセプトに、アイドルグループの運営を始めるらしいという話を聞きました。AKB48を発端とする「会いに行ける」アイドル戦国時代が幕をあけてから、アイドル人口は本人たちも把握できないほど、爆発的に増加しています。業界で埋もれないように、奇をてらったコンセプトのアイドルも次々に誕生しました。過激なパフォーマンス、奇抜な売り出し方、意外な分野とのコラボレーションも、もはや珍しくありません。

 その中で、誰でもアイドルになれるというコンセプトには、個人的に引っかかるところがありました。いま、アイドルは本当に、誰でもなれます。それは、アイドルを志したことも、技術もない自分自身が、地下アイドルとして数年間活動できたことで痛感しています。続けることに比べれば、アイドルになるのはずっと簡単なことでした。

 たとえば大学のゼミや、高校の同級生にも、もっと地下アイドルがいておかしくないのにと、ずっと不思議に思っていました。

 スター不在の八十年代にアイドルの時代は到来しました¬。ブラウン管越しに一方的に見つめていたアイドルは、ゼロ年代に「会いに行ける」存在となり、空前のブームの中、数え切れないほどのアイドルが誕生しました。アイドルは誰かに人々に選ばれる存在ではなく、自ら進んでなるものになったのです。

 以前のアイドルと比べて、人数が多いぶん、技術も容姿もクオリティは様々で、しばしば、「推しがアイドルじゃなくても好きでいられるか」という議論すら耳にします。アイドルの肩書きがなければ、普通の女の子だということです。

 この状況の中で、濱野さんが掲げた「誰でもなれる」は、このアイドルブームのひとつの最終形態であるように思われました。

 追い打ちをかけるように、濱野さん本人から「このグループに、僕の経験と知識と頭脳を全てかけます」と聞いて、一気に興味を惹かれました。アイドルブームの最終形態になりうるグループを、濱野さんはどうやって運営していくのでしょう。

 しかも私はお披露目ライブで、コンセプトの達成を確信させられました。わずか21名のメンバーの中に、2名も高校の同級生と同姓同名の女の子がいたのです。偶然に重なる偶然ですが、高校の同級生が一気にふたりも地下アイドルになった気がして、私の中でグループは早くも、「誰でもアイドルになれる」を達成しました。

 しかし、ここで気になるのが、アイドルファンが運営になると成功しないという風潮です。大きな原因は、濱野さん本人も指摘する通り、「好みの女の子ばかり採用したり、贔屓したり、オタクとしての私利私欲に走りがち」になるからです。うーん、周りでも見たことあります。

 自他共に認める熱狂的なアイドルファンの濱野さんですが、「アイドルに関して僕は『好みのタイプ』とかないので大丈夫かな、と。もちろんグループ全体を見せていくために、どうしても推し方に偏りはでちゃいますけど」と、あっさりした答えが返ってきました。「むしろ見た目だけでいえば、もっと可愛い子もたくさんオーディションに来たんですよ。でもオーディションでは、歌唱審査の時、参加者全員に相互評価をしてもらって、『こんなのやってられない』とダルそうにしている子は全員落としました。性格が悪そうだったので」

 これでは、「誰でもアイドルになれる」に矛盾しているようですが、濱野さんの手がけるアイドルグループPlatonics Idol Platform(以下、PIP)は、将来的にアイドルをプロデュースする側と、される側にわかれます。つまりPIPで育成されたプロデューサーのもとで、PIPには加入できなかった子もアイドルになる可能性があるのです。

 ところで、私はPIPに入れません。なにせ気が小さいので、同世代の女の子たちと毎日のように顔を突き合わせて、誰が人気あるとか、誰々が悪口言ってたとか、推されてるとか干されてるとか、想像しただけで心もとなくなります。

 一番、懸念されるのが、その緊張感が吊り橋効果となって、一番身近な異性である運営に恋心が向いてしまうことです(ソロ活動が長すぎて、グループに対する想像が激しい)。

 濱野さんは、「それはないでしょ!」と笑っていましたが、ふと真面目な顔で「でも人は恋愛と尊敬を混同しがちですよね。運営としてはある程度、尊敬されることは必要ですが……。例えば女子高の生徒が先生と付き合っちゃうのもそういうことでしょうし」と考えていました。でも、いや、それはないなと言い直して笑っていました。

 一方でファンからのトラブルに関しては、「まだできたばかりのグループなのでありません。普通の人も最初からストーカーしてやろうと思って、ストーカーになることは滅多にないですから」としながらも、「レスがほしいとか、認知されたいとか、最初はささいな承認欲求なんだけど、それをこじらせると厄介ヲタ化してトラブルになるので、運営がメンバーをちゃんと見守っているという態度はきっちり取ります。そのために、ブログのコメント欄も僕が全部チェックしてますから」と、きっぱりしていました。

 アイドル側も見てほしい応援してほしいなどの欲求があるので、いかに両者が爽やかに欲求を満たしあえるかが重要なのだと思います。これはフリーで活動していくうえでも、一番重要であり難しいところです。

 きっちり管理してくれる運営がいるのは羨ましいですが、自分の考えで活動しているフリーのアイドルが好きな層もあるので悩ましいのです。運営がついた途端にファンが離れていったという話はよく聞きます。

 最後に、メンバーに恋愛が発覚した時はどうしますかと聞くと、「ぶっちゃけ、その子の人気によって対応は変わってくると思いますけど」と運営らしい発言の後、「うわあ、でも変な彼氏とか出てきたら嫌だなあ」と、お父さんのようなファンのような複雑な顔をしていました。

「PIPをやってて、とても楽しいですよ。楽しいだろうなと思って始めたらやっぱり楽しかった。将来の目標も今後の展開もありますけど、今はただ、メンバーたちがひたすら楽しいと思えるまま進んでいけたら、それが理想ですね」私もひとりのアイドルとして、最終形態のアイドルを見守っています。

姫乃たま

最終更新:8月30日(土)17時43分

リアルサウンド