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 原発で重大事故が起きた際、住民の避難に使われる民間のバスが大幅に足りない恐れがある。再稼働に向けた手続きが進む九州電力川内原発(鹿児島県)の10キロ圏内ですぐに用意できるのは必要数の約4分の1。県とバス協会との協定締結も具体化していない。運転手が被曝(ひばく)する可能性も懸念されている。

■運転手の被曝も懸念

 川内原発の30キロ圏内の自治体の避難計画では、自家用車がない住民や要援護者は、主にバスで避難する。重大事故が起これば県が県バス協会と結んだ協定に基づいて、派遣を要請する。

 県が原発が立地する薩摩川内市と隣のいちき串木野市に、10キロ圏内の住民の避難に必要なバスの台数を尋ねたところ、30~50人乗りで計415台程度だった。両市とも市所有のバスは数台しかない。

 県バス協会加盟の約80社のバスは計約2200台(昨年末時点)だが、多くは日常的に運行する路線バスで避難に使いにくい。貸し切りバスは約800台あるが、原発周辺で用意できるのは約100台という。10~30キロ圏内のほかの7市町で調べれば、必要台数はさらに増える。だが、県はその予定はないという。担当者は「5~30キロ圏の住民はまず屋内退避するため、全住民が一斉に避難する事態は考えづらい」と理由を説明する。