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アクセシビリティコラム

第118回 自治体サイトWebアクセシビリティ調査2014を終えて

今年も発表しました自治体サイトWebアクセシビリティ調査の総評をコラムに記すことにする。

継続して定期的に横並びで調査してきた中で、今年取り立ててということではないかもしれないが、印象に残ったことはみんな気を遣わなくなったなあということ。

自然になったという方が聞こえがよいか。以前はよくも悪くもそれぞれの自治体がWebサイトという媒体で情報発信することそのものについて気負っていた節があった。アクセシビリティへの配慮についても内容の表現についても。悪い点について言えば、本当に気を遣えていないところもなくはなかったけれど、空回りしているような場合が散見されていたと思う。

このところというのは、CMSとか、極まれにではあっても業者さんの知識とかでアクセシビリティ対応は最低限保たれているし、内容表現についてもバリエーションが出揃って、何かを新たに作り出すというよりはある中から選択するというようなことで済むものだから、おもしろかないが情報を受け取るという意味では十分なサイト運営がされているところである。

さて、今年取り立てて迷惑だったのは、フェイスブックやらツイッターやらのタイムラインを利用しての情報発信だ。こうしたものの一部が自治体の公式サイトのトップページに表示されているおかげで、たとえば岩手県では過去10日分くらいの気象情報が、秋田県では訪問者が目的としないイベントの情報がURL入りで延々と流れる結果となっている。

見える人がこうした体裁の情報をどのように読み飛ばしているのかはわからないが、音声でトップページの全容を把握するときはかなり骨が折れる。おそらくこの部分はこのような体裁の気象情報群だ、イベント情報群だということが予測できても、延々と続く文字の並びから抜け出すのには時間がかかるし、見出しの要素を頼りに読み飛ばすのには信用がない。

この「信用がない」というところがアクセシビリティの観点で重要なところで、見出しの要素を正しくつけてくれているはずという安心感がユーザーの側にあれば、こうした手法は難なくクリアできる。しかし、今回の調査段階で、調査者である私の中にその安心感はなかったようだ。もしも、Webサイトに信用があって、もしもユーザーの側に安心感があってということであれば、この状況をクリアできるだけではなくその先の情報取得にという広がりを望むことができる。こうしたきっかけが自治体サイトにあることについては評価したいと思っているので、今後の発展に期待するところである。

「信用=安心」でwebサイト閲覧は進んでいる。数多くのwebサイトにアクセシビリティへの配慮という信用を散りばめておいてもらいたいものだ。私どもユーザーが安心を得るためには、それこそ現存のWebサイトを教科書にするほかないのだから。

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