2014-08-29 こんなとこにもヘイトだよ
「なにもしていないでしょ」
この間、ママ友と、小学校に上がったし、少しは暇ができたんじゃないの? みたいな流れで雑談していた。
「なにか、自分のために、時間を使うようになった?」
「ぜんぜんダメなのよ。要領が悪くて、家事と育児で精いっぱい」
でも、話を聞いていると、パパはまったく育児も家事もやらない。でもって、パパのペースと、子どものペースで、彼女は生活しなければいけないので、二重に面倒が増えている感じ。
「少しは、家事を整理したり、食事を簡単にはできないのかな? 風呂は入れてもらうとか、土日は子どもの世話はパパ任せとかでもいいんじゃないの? そもそも、毎日そこまで掃除を丁寧にしなくてもいいんじゃないの?」
「いや、『なにもしていないんでしょ』と言われちゃうと、返す言葉ないんだよ」
「えーーーー! 『なにもしていない』ってのはおかしいでしょ、育児も、家事もやっているのに(怒)」
「でも、そう言うんだよね……」
まぁ、他人の家なので、それ以上は言えないんだけど、すーげーなーと思った。
これだけ、イクメンだの、育児しないとパパ失格みたいな空気が、良くも悪くもできていても、人はそう簡単には変わらないってこった。
まぁ、我が家も、夫が平日しかできない用事を代わりにやってくれと頼んできて、
たまたま、私も大変忙しい時期だったので、
「うーーん、今日、明日は難しいかも」
と言ったら、イライラしていたのか、
「時間があるでしょ、オレよりは」
という返しをしてきたので。その言い方はないだろうと。
ムッとして、返事をしなかった。
それ以降、まずいと思ったのか、そういう言い方はしなくなったんだけど。
主に家事や育児を担当している女は、オレらより暇。時間が好きにつかえるはず。どうせ大したことしていない。
って偏見はなんだろうね〜。
たぶん、扶養控除の辺りが助長して、食わせてやっているんだからみたいな感覚なんだろうね。話を聞いていると、年収が高い男性の方が、年齢問わず、そんなの常識でしょって感じなので、戸惑ってしまうよ。
金を稼がない仕事は『なにもしていない』に等しいって考え方するとさ、定年なりで仕事を失った時、あなたの価値はゼロってことになるんだけどなぁ。
あと、こういう蔑みを、女は忘れないからね。
年取ってから、復讐されないといいけれどと。
佐藤愛子が書いた『血脈』を読んでいたときに、佐藤の親族の女性が、夫にした復讐ってのが怖かった。
うろおぼえなんだが、こんな感じ。
定年退職した夫は、まったく家事ができない。妻が作る料理を食べるしかないんだが、その料理がどんどんひどくなっていく。昭和のころの話で、彼らは東京郊外の一軒家に住んでいるので、近くにコンビニも弁当屋もない。冷蔵庫の中には材料があるんだけれど、夫は料理を作れない。何回か話し合おうとはするんだが、妻は一切無視。だから、夫は黙って、出てきたものを食べるしかない。ついには、何日前に作ったかわからない、酸っぱいみそ汁と冷えたご飯だけになる。
「さっぱり理由がわからないんです。こんな仕打ちを受ける」
と夫は、佐藤愛子に打ち明けるんだが、どうにもならないまま、冷えた夫婦関係は続いて行く。
まぁ、きっと、夫側はたいしたことないと思っているようなことが、積み重なって行った結果なんだろうなと思うと、ゾッとしたなぁ。