公設民営学校:容認へ 文科省「特色ある教育」実践

毎日新聞 2014年09月01日 07時30分

 文部科学省は、都道府県や市区町村が設置する公立学校の運営を民間に委託する「公設民営学校」を、自治体から提案があれば特例として認める方向で検討を始めた。民間のノウハウを活用し、海外の大学への入学資格取得や語学、理数系への特化など「特色ある教育」を実践するのが狙い。今秋の臨時国会へ関連法改正案の提出を目指すが、多様な子供のいる公立学校に民間の手法を導入することには慎重な声もある。

 現行の学校教育法は、公立学校を設置者の自治体が運営すると定めている。公設民営学校は、公立校に準じる費用で特色のある多彩な教育を受けられるメリットがあるとされる。

 運営委託先は学校法人など非営利法人を想定し、学習指導要領に準拠しつつ独自のカリキュラムでの学習を可能にする。教員の採用や授業の進め方も委託先の民間が決める。教員の身分は公務員ではなく民間で、給与は今後検討する。欧米では普及し、州や市が設置した学校を保護者や民間団体が運営する「チャータースクール」は珍しくない。

 「公設民営」は、民間人校長の公募制度を実現させた橋下徹・大阪市長が導入に意欲を燃やす教育政策で、同市の提案は「国家戦略特区」としてすでに認められている。橋下市長は「民間のノウハウや人材を活用することで、教育の水準や質の向上を効率的・効果的に達成できる」と主張し、必要な関連法の改正を要望している。

 同市教委は、海外大学への入学資格「国際バカロレア(IB)」が得られる認定校(中高一貫)▽理数系や英語教育に特化した中高一貫校−−などを構想。「民間の方が特色ある人材を確保しやすい」と強調するが、教えるスタッフは教員免許を持つ者を想定している。【三木陽介】

 【ことば】公設民営学校

 自治体の資金や土地・建物を利用して民間が運営する学校。すでに岡山県や群馬県太田市で開校しているが、「公私協力方式」と呼ばれ、自治体が職員を派遣するなど自治体の介入の度合いが強い。大阪市の場合は、公立の図書館などで導入されている「指定管理者制度」に近く、委託先の民間の裁量が大きいスタイルを目指しているとされる。

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