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01 Sep 2014 01:10

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広報紙「ひろしま市民と市政」

広島市ホームページ平成26年9月1日号トップページ区版東区 > はばたけ未来へ

はばたけ未来へ

 区報ひがしでは、今回、現在活躍中の東区ゆかりの方を紹介します。  登場してくださるのは、フィギュアスケーター・町田(まちだ)樹(たつき)さん。今年開催されたソチオリンピック、世界選手権大会での活躍は記憶に新しいところです。この東区で育ったと知り、親近感を抱いた人も多かったのではないでしょうか。夢を追い、その夢を実現するまでの努力、葛藤、その先に手にしたものなど、町田さんからいろいろなお話を伺いました。

◆問い合わせ先:区政調整課(電話568−7703、ファクス262−6986)

県内には、通年使用できるスケートリンクがないため、県外に練習に行かれていたそうですね。
 僕はむしろ、半年でも、スケートリンクのある町に住めて幸運だったと思っています。冬の間は毎日ビッグウェーブで練習していました。スケートリンクがなかったら、フィギュアスケートをし続けることは難しかった。スケートリンクがない半年は岡山県、島根県、福岡県、山口県まで行っていました。それを支えてくれたのはコーチであり、母です。また学校の先生、学校の仲間にも、本当に感謝しています。

フィギュアスケートを続けてこられた原動力は何だったのですか。
 中学生のころから本気で取り組んでいたので、楽しいと思ってやるのではなく、自分の義務、仕事という感じでした。続けることは、つらいこともあったけれど、自分の中に大きな目標、信念がありました。「自分の自信のあるスケートをより多くの人に見てもらいたい。そのために試合で活躍して大きな舞台を勝ち取りたい」という思いがあったから続けてこられました。明確な目標と何のためにそれをするのか、自分は常に自分に問いかけて、ここまできました。

成績が伸びない時、どのようにして乗り越えたのですか。
高校の3年間、練習しても結果が出なくて、このままでいいのかと考え、希望も何もなかった時期がありました。褒められたことではないですが、フィギュアスケートばかりに打ち込んでいて、学校の勉強をおろそかにしていました。自分からフィギュアスケートを取ってしまったら何が残るのか、と考えたとき、何もないことに気付いたんです。結局やめることができず今に至っているんですが、あの時、失敗したこと、悩んだことが、今の自分につながっていることがわかります。今、後輩たちがつらいことで悩んでいるとしたら、そのつらいことや苦しいことは絶対何かにつながっている、無駄ではないんだよ、と伝えたいですね。

ソチオリンピック前は第六の男と言われ、有力視されていませんでしたが、そういった評価をどう克服されたのですか。
 オリンピック前はありえないくらい悪い成績でした。失敗すると自分の中で考えるんです。どうして失敗したんだろうと。失敗から何かを学び取って、次につなげていくことで、失敗が減っていくんです。転んでもただでは起きない。一つの失敗も無駄にしない、と自分に言い聞かせてきました。

これからの目標をお聞かせください。
 フィギュアスケートに関しては、自分らしい演技や滑りを多くの方々に見せたい。これが自分にフィギュアスケートを続けさせている大きなモチベーションです。自分のフィギュアスケートを表現したいという気持ちは大事にしていきたいと思っています。自分は、ほかの人が体験できないことをさせてもらっているので、将来、その経験や学びを多くの後進の人たちに伝えられる存在になりたいですね。

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失敗は無駄ではない。
未来の自分につながる
貴重な経験です。

町田樹さん
フィギュアスケーター

プロフィール
平成2(1990)年、神奈川県川崎市生まれ。小学3年生の時、父親の転勤に伴い、広島県へ。牛田中学校卒業後は、通年使用できるリンクがある岡山県の倉敷翠松高等学校に進学。現在、関西大学在学中。同26(2014)年ソチオリンピック5位入賞、同年世界選手権2位。
リンク上での情感あふれる表現力に加え、個性的なコメントや世界観から「氷上の哲学者」と称される。

町田さん名言集
町田さんのお話から、印象深い言葉を集めました

二足のわらじをはけ。
→一つの夢が叶わなくても、焦らずもう一つの夢を追って行ける。

目標や夢を明確にもつ。そこからもう一歩踏み込んで、さらに明確化する。
→表層的な目標ではなく、より具体的な目標をつき詰め、それを明確化することにより、目標を達成するプロセスが得られる。

成功は失敗のもとである。
→失敗するとなんで失敗したかを考えるが、成功すると何も考えない。油断して失敗しやすくなる。

自分で考える。
→人からもらった答えは答えにならない。自分が苦労して導き出した答えこそが一番大事な答えになる。

町田樹からフィギュアスケートを取ったら、「町田樹」−「フィギュアスケート」=・・・・・・で何が残るか。
→フィギュアスケート以外でも、自信の持てるものを大きくしたい。

牛田中学校で後輩たちを激励しました。

 6月17日、母校の牛田中学校で「みんなで語ろう!心の参観日ようこそ先輩!町田樹選手」で、生徒や保護者の皆さん約800人を前に講演しました。これまでの自分の体験を語り、後輩を激励しました。
 講演後には、生徒との対話の中で、数多くの質問があり、一つ一つ丁寧に自分の経験に基づきアドバイス。質問者の中には、2020年の東京オリンピック出場を目指している生徒もいました。
 町田選手に続いて東区からオリンピック選手が誕生するかもしれませんね!

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