手足の震え、赤面……「あがり症」に薬がある!?

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手足の震え、赤面……「あがり症」に薬がある!?

人前で話すときに緊張で赤面してしまう。会議中、ホワイトボードに字を書こうとして、緊張で手が震えてしまう……。誰でも多かれ少なかれ緊張や不安を感じることはあるものですが、これが極度の緊張状態となり、日常生活に支障をきたすようになると「社交不安障害」とも呼ばれ、医師への診察が推奨されます。

一般的に「あがり症(緊張症・赤面症)」と呼ばれる症状は、どのようなものなのでしょうか? 自由が丘にある「たまきクリニック」の玉木優子先生にお話を聞きました。

「あがり症は生まれつきの性格の問題と思われていることがありますが、そうではありません。人前で言葉が出てこなくなってしまったなどの失敗体験が元となっていることが多いのです」

もともと人前で話すのが苦手だった人が失敗をきっかけに極度の緊張症になってしまうこともありますが、それまで活発だった人が1回の失敗で強い緊張を感じるようになるケースもあるといいます。

「年輩の男性で、企業で役職についている方が来院することもあります。地位のある立場で『社員の前で緊張してはいけない』『失敗してはいけない』というプレッシャーが強くあるため、少しの失敗で強い不安を感じてしまうというケースです」

玉木先生のクリニックではカウンセリングや認知行動療法、薬の処方などで対応を行います。また、社交不安障害の場合、セロトニンやドーパミンの量を増やすこともカギだとか。

「太陽の光を浴びるとセロトニンが増えるので、朝起きたらカーテンを開けるなど、蛍光灯ではなく日光を浴びる習慣も大切です。日光療法という療法もあります。また、楽しいことや快感を感じると、ドーパミンが出ます。これもメンタルを整えるために有効です。おいしいものを食べたり、好きなことをしてリラックスする時間をつくりましょう。ただ、何事もやりすぎはよくないので、適度に楽しみましょう」

カウンセリングでは、あがり症となってしまった原因を聞くことも。今後、また緊張することがないために、「会議で話す練習」などのシミュレーションを行うこともあるといいます。薬を処方する場合、どんなものを用いるのでしょうか?

「安定剤のワイパックスや、抑うつ剤のルボックスを処方することがあります。漢方薬では、気のつまりをスムーズにすることで動悸を抑える半夏厚朴湯や、気分の高まりを抑える抑肝散を処方します。漢方薬は依存性が少ないので、最初から漢方薬を希望される方もいます」

「本当は、軽い症状のうちに来院して対処した方が、あがり症を改善しやすいです。普通のあがり症ですと、半年〜1年ほどで症状改善しますが、極度のあがり症ですと、症状改善まで2年〜3年ほどかかってしまいます」

緊張しやすい傾向がある人は、ひどい失敗体験をしてしまう前に、お守り代わりに漢方薬を処方してもらう、というのもいいのかもしれません。

「あがり症は治らない病気ではありません。悩んでいる方は、無理せず医療機関を受診ししてほしいですね」

緊張や不安で実力が出せないのはもったいない! 事前の対処法を考えておきたいものですね。