自転車からチェーンを撤廃したらメリットしかなかった

折り畳み自転車は便利な乗り物だ。運ぶときはコンパクトで、出先では行動範囲が広がる。

いっぽう折り畳み自転車の構造には大きな制約があった。それは、チェーン(またはベルト)で駆動するため、ペダルの軸と後輪の軸のあいだは基本的に伸縮させることができないというものだ。

その制約のために、折りたたみ自転車の構造はほぼ決まったものになっていた。メインのチューブの途中で折り曲げるというものだ。ところが、韓国のメーカーBYGENが発表した折りたたみ自転車「HANK」はチェーンもベルトも使わない。それによって、さまざまなメリットを持たせることに成功した。

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チェーン機構の代わりに独自のクランクを使う

このHANK、ペダルはチェーンやベルトを介することなく後輪を駆動する。かといって後輪のハブから直接ペダルが生えているわけではない。そんな構造だと乗員はそうとうヘンな姿勢を強いられるし、ギヤ比も低くなりすぎてしまう。

HANKのペダルは、ユニークなクランク機構を介してペダルが装着されている。それによって、ペダルは乗員が自然に漕げる位置で回転し、ペダルとリンク機構で接続されたクランクが、後輪のハブの少し前にあるギヤを回す。そのギヤを介して増速された回転が後輪のハブに伝わって回転するというものだ。

HANK02

この機構によってHANKは、折り畳み方式ではなくスライドをさせる方式で本体を伸縮させることができるようになった。それにより全長は半分以下にまで縮められるという。また、チェーンオイルを必要としないため持ち運びに際して服などを汚す心配も大幅に減った。もちろんチェーンが外れるという心配もない。

さらにこの機構はチェーンの張りによるパワーロスがなくなるため、7〜8%もパワーの伝達効率が向上するという。もちろんチェーンタイプの自転車よりメンテナンスも楽だ。また、カーボン製のホイールなどの採用により重量も10kg以下に抑えられている。ハンドルバーはワンタッチで折り畳むことができるという。

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日常ユースにも使えそう

20インチのタイヤを採用していることもあり、単に一時利用的なポータブル自転車として使えるだけでなく、普段使いの自転車としても十分な性能を発揮しそうだ。製品の性格からしてやや高級志向のようなので、このタイプの自転車がチェーン式にとってかわるということにはならないかもしれないが、性能面からもデザイン面からも魅力的なモデルだけに、ひとつのスタンダードになるかもしれない。

このユニークなジョイント・クランクによる駆動機構は、ぜひ下の動画でご覧になっていただきたい。

*参考:動画BYGEN