阪神−ヤクルト 4回阪神2死二、三塁、阪神・狩野は左前打を放ち一塁へ向かう=甲子園で(棚橋慶太撮影)
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◇阪神10−5ヤクルト
阪神が12安打10得点。1回から4回までに計9得点し、狩野が1号2ランを含む3安打4打点と活躍した。9回表無死で降雨コールドゲームとなり、7イニング2失点の能見が7勝目を挙げた。ヤクルトは今季初先発の赤川が打ち込まれた。
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これが最後のカクテル光線だと思っていた。結果を出さなければ2度とこの舞台に立てないことは分かっていた。選手生命がかかった一戦。阪神・狩野が3安打4打点と大活躍をしてみせた。
「申し分ない。きょうは狩野やな。あの本塁打で行けるとなった」と和田監督もうなった一発。2点リードの3回2死二塁。赤川が投じた初球を豪快に振り抜いた。打球は弾丸ライナーで左翼席に突き刺さる728日ぶりの1号2ラン。「打った球も分からなかった」と極限状態で放った一撃が、チームの、そして自身に絡まった重い鎖をほどいた。
4回には3点を追加しなおも2死二、三塁で、阪神在籍時にバッテリーを組んだ阿部のシュートを左翼線へ痛烈に引っ張った。ダメ押しの2点タイムリーで09年以来5年ぶりに1試合4打点だ。
自身が最も輝いていたのも、この5年前。捕手として127試合に出場し、近い将来の主力としての期待もかけられた。それが度重なる腰の故障に泣き、悪夢の育成契約も経験した。だが、苦難を乗り越えた男を天は見放さなかった。
「いろいろあったけど、神様っているんだなと思った」。降雨コールドゲームでのため、お立ち台はお流れとなったが、甲子園からの猛虎再出発を助けたヒーローは、静かに喜びをかみしめた。
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