「バイラルメディア祭り2014夏」レポート
インパクトのある動画や画像を紹介する記事を配信し、Facebookなどのソーシャルメディアで広く拡散させることを狙う「バイラルメディア」が大きな注目を集めている。「自分でコンテンツは作らず、他人のフンドシで儲けようとしている」と批判されることもあるバイラルメディアだが、その影響力が急速に高まっているのは確かだろう。そんななか、真夏の8月中旬、東京・渋谷で「バイラルメディア祭り2014夏 2015年のメディアの形を考える」と題したイベントが開かれた(主催:サイバーエージェント)。そこには、いま勢いのある国内バイラルメディアの代表が顔をそろえた。CuRAZYの伊藤新之介氏(株式会社LAUGH TECH)、ViRATESの孫良氏(株式会社まさか)、grapeの吉盛央(よしもり・ひろし)氏(株式会社レディア)、そして、BuzzNewsの高木健作氏(WebtechAsia PTE.LTD)の4人だ。競争が激化するバイラルメディア業界で、どう生き残っていくのか。そのサバイバル戦略が明かされた。(取材・構成:亀松太郎、高橋洸佑)
バイラルメディアの運営者たち。左からBuzzNewsの高木健作、grapeの吉盛央、CuRAZYの伊藤新之介、ViRATESの孫良の各氏。 写真一覧
バイラルメディアも「オリジナルコンテンツ」を作る?
イベントでは、それぞれのメディアの説明に続き、注目のバイラルメディアを運営する4人によるパネルディスカッションがおこなわれた。司会が質問をふり、それに各人が答えるという方式で進められたが、最初の質問は「独自コンテンツ」を作るつもりはあるのか、というものだった。いまネットでは、バイラルメディアの「パクり」が大きな問題となっているが、この分野で先行するアメリカでは、差別化のために「独自コンテンツ」を作る動きがあるのだという。BuzzFeedがその代表例とされるが、日本ではどうなのか。
―バイラルメディアでも独自コンテンツを作っていくという話があったが、画像や動画中心のコンテンツだとそれ自体パクられる可能性もある。そんななかでも、独自コンテンツを作っていこうと考えているのか。
CuRAZY・伊藤新之介氏。写真拡大
―それはパクられても、ネタ元になっていればよいということか。
CuRAZY・伊藤:「文句は言えないですよね(笑)」
―逆に「オリジナルコンテンツを作らない」という方針のメディアはあるか。
BuzzNews・高木:「うちはたぶん、独自では作らない。ただ、コンテンツメーカーと提携していこうとは考えています。というのは、実際にバイラルメディアを運営していて、バズるコンテンツとバズらないコンテンツはすごく微妙な差だな、と。その微妙な差をゼロイチで作るというのは、ものすごく難しいことだなと感じています。たぶん今のインターネットだと、それを作るコストが見合わないだろうと思います。
アメリカだったら、そのコストに見合うだけの市場規模がありますが、日本だと結構厳しいと感じています。であれば、テレビや漫画などのコンテンツを持っているメーカーさんと組んでやろうというのが、うちの考えですね」
grape・吉盛央氏。写真拡大
なぜなら、いまYouTubeから動画を拾ってバイラルメディアをやっていて思うんですが、最終的に一番トラフィックを集めるのは、YouTubeなんですよ。どこでバズっても。
簡単にパクられるので、いろんなところが同じネタを取り上げます。バズる要素が高いネタや動画は、どこのメディアで取り上げてもそれなりに伸びるんですよ。しかし、長いスパンで見ると、バイラルメディアがトラフィックを集めるのは本当に一瞬です。一週間も持ちません。半年とか一年というスパンで見ると、最終的には、YouTubeが一番トラフィックを集めていると思いますね。
なので、オリジナルコンテンツもきちんと作っていく。自前で作ったり、ユーザーさんに作っていただいたものを独自の形で投稿していただいたり。そういった路線を含めて、ネタ元になるという点も重視しています。ただ、おっしゃられたように、単に一発バズらせるためのネタを作るというのでは、コストが全然あわないとは言えます」
ViRATES・孫:「ViRATESの場合、もともと一番やりたいことは、ああいうクソサイトを作ることじゃないんです。
大勢の人に見ていただいて、そこの中で少しでもいいから意義のあるものを伝えたい。たとえば『浮いて待て』を映像にしたものを作って、誰かに見てもらえば、それで命が救われるかもしれない。非常にくだらないものを作りながら、そういう独自コンテンツもやっていきたいという感じですね」
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