タイムリーヒットを放った広島・石原【拡大】
チームの危機を一丸で乗り越える。正妻が欠けても、代役が決める、これが、カープの勢いだ。
広島が敵地で中日に3連勝。ヒーローはけがの会沢に代わり、途中出場で決勝打を放った13年目のベテラン石原だった。
「満塁だったので、自分でランナーをかえそうと思っていきました」
夏休み最終日に駆けつけた鯉党が、背番号「31」に喝采を送った。同点にされた直後の六回一死満塁。バキッという鈍い音とともに、武藤の真っすぐを中前にはじき返した。試合前打率・161の男が、執念で決勝点を奪い取った。
さらに八回にも試合を決定づける左前適時打。いつも無口なベテランは、悲壮な思いで打席に入っていたことを明かした。
「会沢がああいう形(けが)になったので。あいつのおかげで、ここまでチームが戦ってこられた。だから、どんな形でもいいからヒットを打とうと思った」
非常事態だった。打率・314の正捕手、会沢が三回の走塁で右太もも裏を痛め、ベンチに退いた。試合後には「右大腿筋損傷」と診断され、即出場選手登録を抹消されることが決まった。8月はわずか4試合で先発の石原。会沢の代走で呼ばれ、結果を出した。