オスプレイ:体験搭乗 離着陸スムーズ、地上の騒音激しく

毎日新聞 2014年08月31日 21時27分(最終更新 08月31日 21時56分)

記者が搭乗する機から撮影した後続のオスプレイ=伊豆大島付近の上空で
記者が搭乗する機から撮影した後続のオスプレイ=伊豆大島付近の上空で

 米軍横田基地(東京都福生市など)は31日、報道機関を対象に新型輸送機MV22オスプレイの体験搭乗を実施し、毎日新聞記者も参加した。普天間飛行場(沖縄県)から派遣されている2機編隊で、横田基地での訓練飛行に同乗させた。

 午後0時25分ごろ、記者を乗せたオスプレイは回転翼のごう音を響かせながら横田基地を離陸。斜め上方に上昇し始めた。垂直に上昇するより早く高度を上げられる離陸法だという。後部扉は開かれ、そこから見える地上の景色がみるみる小さくなった。

 後続機が追ってきた。市街地を過ぎ、海上に出るとさらに近づき、コックピットの操縦士の姿も見えた。2機は伊豆大島近くまで来て大きく旋回、海上から約300メートルの高度で低空飛行を披露した。

 約1時間のフライトの後、横田基地に到着。回転翼を斜め上方に向けて機体を降下させた。回転翼の角度を切り替えたことに気づかないほど、降下態勢への転換はスムーズだった。しかし地上で聞く騒音はかなり大きく、周辺住民の声を聴く必要があると感じた。

 横田基地広報副部長のベイリー中尉は、オスプレイに対する基地周辺住民の不安について「払拭(ふっしょく)されていないことは承知している。懸念を考慮しながら地元との絆を深めていきたい」と話した。【柴田朗】

 ◇安全性アピール

 報道機関を対象にした体験搭乗には、オスプレイの安全性への理解を広めたいとの米軍の狙いがある。普天間飛行場に初めて配備した2012年秋にも、体験搭乗の機会を設けた。

 7月15日に初めて東日本へ飛来して以来、米軍はオスプレイの運用を全国に拡大させている。沖縄の基地負担軽減をアピールし、普天間の県内移設に向けて沖縄県知事選(11月)を有利に進めたいとの日米両政府の思惑が背景にある。

 米軍は8月下旬、オスプレイの離着陸訓練を初めて東富士演習場(静岡県御殿場市など)で実施した。しかし9月4〜5日に同演習場で再度訓練を実施しようとしたところ、周辺自治体から「立て続けに行われると問題点を指摘する間もない」などと難色を示され、中止にした。住民の不安解消には、さらなる配慮と説明が求められそうだ。【斎藤良太】

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